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58馬鹿 紫少年との対話 ページ8

「Aちゃんお疲れ様、もうあがってお昼にしちゃいなさい」

人が大分まばらになったころおばちゃんにそう言われて私は作業していた手を止めた。
私はその言葉に甘えて遅めの昼食をとることにした。
自分の分の豆腐定食を持って奥のテーブルに腰かけた。


「いただきます」


私は両手を合わせて言うと料理に手を付けた。
お腹がすいていたためパクパクと食べていると目の前に誰かが座ったような気がした。
目を向けると先ほどの紫色のふわふわ髪の少年だった。


「なんすか?」

「貴方が言ったんですよ。後で相手してくれると」

「そりゃあ言ったけどさ〜アンタ授業は?」

「今日は自習なんです。あとアンタじゃなくて綾部喜八郎です」


少年…綾部はムッと顔をしかめた。あぁ、確かそんな名前だったな。
私は八杯豆腐を口の中に放り込みながら綾部をあやした。


「はいはい、綾部ね。で、綾部は私に何を聞きたいんだ?」

「いえ、特には。ただ貴方と話がしてみたかっただけです」

「あっそ、君変わってるね」

「よく言われます」


私は箸を止めることなく綾部を見た。
綾部は頬杖をつきながら私の方をその大きな目でジッと見ている。
私は居心地が悪くなったので綾部に話しかけた。


「あのさ、私の顔になんかついてる?」

「いえ、貴方は前に来た天女より可愛くはないですね」

「喧嘩売っとんかゴルァ」


いきなり何を言い出すんだこのクソガキは……
私はそういう念も込めて綾部を睨んだ。がしかし綾部はクスクス笑うだけだ。
何がおかしいんだコノヤロー


「前に来た天女の顔は整っていました。今でも覚えていますよ、けど今思えばとても気持ち悪く思い
 ます。昔の僕はどうしてあんな人を好きになってしまったんでしょうね?」

「……そんなの知らないよ。でもよくある事だと思うよ。ほら、惚れたらあばたもえくぼっていうじ
 ゃん。そう思っておきなよ」

綾部は笑っていた顔を曇らせて私にそう聞いてくる。
私は気の利いた事が言えず思ったことを口にした。
それを聞いた時の綾部の顔はどこかハッとした顔つきだった。


「そんなに落ち込むことないじゃん。もう終わったことをクヨクヨ言ったってしょうがないよ。次は
 そうならないように気を付ければいいじゃないか」

「……貴方って前向きなんですね」

「人生、前向きじゃないとやってらんないよ……ほら、私なんかと話してないで後輩に時間をとって
 やりな。きっと、待ってるよ」

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時

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