９７馬鹿 おにぎりって美味しいよね ページ47
「チィ―ッス。デリバリーおにぎりをお持ちしやした〜」
「あっ!Aさんだ!」
そういいながら腰を上げたのは一年は組の団蔵である。
しかし、同じ服を着たおそらく同じ学年の違う組であろう子が団蔵を注意する。
「……何しに来た?冷やかしなら帰ってくれ」
「つれないね〜。折角おばちゃんからの差し入れを持ってきてやったのにさ〜」
「お、おばちゃんの差し入れ!?」
そう勢いよく立ち上がったのは迷子で有名な左門だった。
こいつ食い意地はってんな〜。
「まぁ、根詰めても進まんでしょ。おにぎり食べるくらいの時間ぐらいあるんじゃない?ないんだったらお姉さんが食べさせてやろうか?」
「い、いらんわ!バカタレ!!後、何がお姉さんだ!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る潮江。
思ったがコイツが一番思春期こじらせてんじゃないのか?
からかいがあって面白いがこれ以上からかったら跡がめんどくさくなりそうだ。
「なぁ、潮江。知ってるか?適度な休憩は作業効率を大幅にアップさせるんだぞ。それにおにぎりの糖質が脳にいきわたってさらに効率が上がるんだよ。」
「う、うむ……」
「後輩の為を思うなら休憩は必要だと思うけどなぁ〜」
"後輩"……このワードは上級生には良く効くのだ。
これで首を縦に振らなかったらちょーっと灸をすえてやることにしよう。
「わ、分かった……お前たち少し休憩にするぞ」
「はい!秋里さん盆を受け取ります。」
「おう、サンキュ。えっと〜、火器オタク君だよね」
「……合ってますけどね。僕は四年ろ組の田村三木エ門です」
おにぎりとお茶の乗った盆を受け取った火器オタクの田村はその盆をいつの間にか片付いている机の上に置いた。
そして団蔵達は一斉におにぎりに群がる。
「おいしーい!あれ?ほっぺにご飯粒ついてるぞ左吉」
「い、今取ろうと思ってたんだよ!馬鹿団蔵!」
「こら!ケンカするな!」
一年生達がケンカを始めようとするのを左門が止める。
左門もやっぱり先輩なんだな〜。
田村も潮江ももっもっと食べている。
こうして見るとハムスターみたいだな。潮江は可愛くないハムスターだがな。
「にしても、すごい量だな。この帳簿」
「あぁ、全委員会の帳簿が今ここにあるからな。今夜も恐らく徹夜だろうな」
「そうか〜、お前は良いけど一年ズ達にはちょっと酷じゃないのか?」
「だが、会計委員たるものこれぐらいのことはこなせなければなるまい」
「ふーん」
私は自分用に持ってきたお茶を啜った。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年1月30日 13時
