89馬鹿 恐怖!お化けか人か? ページ39
ガサガサ……
「ん?今何か音がしたような……」
食堂の手伝いも問題なく終わりくノ一の子達と楽しいお風呂での談笑に別れを告げ自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていた私の耳に何やら音が届いたのであたりを見回したが何もない。
私は気のせいだと思い止めていた足を再び動かそうとしたその時、背中に氷でも入れられたのではないかと言うぐらい冷たくなるのを感じた。
私は動かそうとした足を再び止め浅い息を繰り返していた。
いる、私のすぐ後ろに何かがいる。
私は震えそうになる体をとめようと無意識のうちに体の正面で交差させ自らを抱きしめた。
そしてゆっくりと後ろを振り返るとそこには……
「ギッムグッ!!」
顔中を包帯で巻き付け本当は二つあるはずの目の片方はギョロリとこちらを見据えている。
その姿を認識した時すぐさま叫ぼうとしたのを包帯の巻かれた大きな手が私の口を塞ぎ私の出した叫びはくぐもった音となってしまった。
私はパニックになった頭の中で必死にこの状況の突破法を考える。
しかしなにも浮かばない。それどころかこいつはお化けじゃないなんて結論が出てしまう始末だ。
目を閉じればいいのだろうが私の意思とは裏腹に両目はしっかりと包帯男の方へ向いてしまう。
「……大きな声を出さないならこの手をのけてあげる」
包帯男は小さい声で静かに言う。
私はそれに答えようと何度か首を縦に振った。
包帯男は私の行動を肯定とみなしたのかゆっくりと私の口を塞いでいた手をのけた。
この時点で大きな声を上げれば良かったのだが、もし声を上げたらその瞬間自分の命は無いと直感的に感じたのでゆっくりと深呼吸をするだけにとどまった。
「いい子だね」
男は片目を細めながらそういう。
これはおそらく笑っているのか?
私は深呼吸を繰り返しはねていた心臓をどうにか落ち着かせ男に問いかけた。
「……アンタ、一体何者だ?」
「……その質問に答えるにはこの場所ではマズイ。とりあえず君の部屋にお邪魔させてもらいたいん
だが?」
「分かった」
そういい私は自分の部屋へと案内する。
自分の部屋に男を招き入れると男にもう一度先ほどと同じ質問を投げかけた。
「アンタ、一体何者なんだ?」
「私かい?私はタソガレドキ忍者隊忍び組頭の雑渡昆奈門だ。よろしく、天女の秋里Aちゃん」
男は目を細めながらそう言う。
私はいらだつ気持ちを抑えながら言葉を紡いだ。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時