８３馬鹿 男でサラストとか羨ましい ページ33
「おや、秋里さんだな?」
「そうだけど……誰だっけ?」
「六年い組の立花仙蔵だ……お前は本当に人の名前を覚えないのだな」
「うん、だって興味ないもん」
私がバッサリと言い放つと立花はズコッとひっくり返ってしまった。
ここの奴らは皆ひっくり返るのが好きなのか?
「お、お前……この私に興味がないのか?」
「うん、お前だけじゃないけど私、食と可愛い女の子以外あんまし興味ないんだよね〜」
「……」
「いや、だから私はそっちの気はないっつーの!引いてんじゃねぇよ、このサラスト野郎!!」
「サラストは褒め言葉だ」
フフンと鼻を鳴らしながら誇る立花を無性に殴りたくなった。
私はハァと息を吐いてその場を去ろうとしたがなぜか引き止められてしまう。
「どこへ行くのだ?」
「自分の部屋。着物と化粧を落としに行くんだよ」
「ふむ……」
私がそういうと立花は私を見て声を出した。
こいつは一体何が言いたいんだ?
彼の発言を待っていると軽く驚くようなことを言い出した。
「秋里さん……しばらくそのままの恰好でいろ」
「はぁ?」
何言ってんだこいつ。頭沸いてんじゃねぇのか?
「秋里さん、口に全部出ているぞ」
「あ、出てた?……じゃあ聞くが何でだ?」
「……いろいろと面白そうだからだ」
「おいコラ」
私はジト目でそう言うが立花はなんでもない様子で私を見ている。
私は嫌だと答えたがどうしてもというので仕方なく、仕方なく!承諾する事にした。
大事な事なので二回言いました。
しょうがないのでこの恰好のまま食堂の手伝いに行く事にした。
あぁ、動きずれぇ〜
食堂に着くともうすでにおばちゃんが料理の下ごしらえをすませて調理を始めていた。
私は急いでおばちゃんのもとに駆け寄った。
「おばちゃん、秋里A。ただいま戻りました」
「あら、Aちゃんお帰りなさい。まぁ〜綺麗ね〜」
「あ、ありがとうございます……この着物山本先生からお借りしたんですよ」
「いや、着物もだけどAちゃん自身も綺麗よ」
おばちゃんが笑顔でそういうので私は顔に熱が集まるのを感じていた。
綺麗ね〜、そんなこと言われたことないから照れるな〜。
「ありがとうございます!さぁ、私も手伝いますよ」
「あら、いいの?じゃあ、その料理を混ぜといてくれないかしら?」
「ガッテンです!!」
私は言われた通り大鍋の所に向かいお玉で混ぜていく。鍋には美味しそうなおでんがグツグツと煮だっている。
うん、美味しそう〜
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年1月30日 13時
