８２馬鹿 お土産を渡そう ページ32
私は秀作から受け取った紙と筆を使い入門表に名前を書いた。
その次に鉢屋、尾浜。庄ちゃん、彦ちゃんの順に名前を書いていく。
全員書き終えたら紙を秀作に返した。
「あ、そうだ。秀作、これ」
「ん?なぁにコレ」
「お土産。美味いって評判の団子屋の団子だよ」
「わ〜!ありがとう!!嬉しいな〜」
「そりゃあ良かった……学園長先生はいらっしゃる?」
「うん、今頃なら庵でお茶を飲んでると思うよ」
土産を喜びながら秀作はそう言う。
じゃあ、後で渡しに行こう。
「そうか、分かった。ありがとう……皆も今日はありがとうね。助かったよ」
秀作に礼を言った後尾浜たちに向き直りそいつらにも礼を言った。
尾浜達はお互いに顔を見合わせた後笑顔で返事をした。
私は彼らと別れた後学園長の庵へと急いだ。
学園長の部屋に着いて障子の前に立ち勢いよくスパーンッとスライドさせた。
「こりゃ!障子を勢いよく開けるんじゃないっと何度言ったら分かるんじゃ!!」
「いやー、障子を見るとこう開けたくなっちゃうんですよ。んじゃ失礼しまーす」
私がそういって入ると学園長は「全く……」と言いながらも部屋に招き入れてくれた。
そしていつものように学園長の目の前に座る。
「今日は私の為にいろいろありがとうございました。おかげで良い気分転換になりました。
それにお金まで……本当にありがとうございました」
「いやいや、お主の気が晴れたのであればそれで良い。お金については正当な報酬じゃから気にせん
でもよい」
「分かりました。あと、感謝のしるしにお団子を買ってまいりました。どうぞお受け取りください」
「ほう団子か……ワシの好物じゃ!ありがとう」
喜々として土産の団子を受け取る学園長。
そしていそいそとその団子を戸棚に隠した。
「後で、良い茶葉でお茶を入れてヘムヘムと一緒に食べるとしよう」
「是非そうしてください……では私はこれで失礼いたします」
そういい私は部屋を後にした。
そして向かう場所は私の部屋だ。着物と化粧を落とすためだ。
その為に廊下を歩いていると、前からサラッサラのストレートヘア―が歩いてくる。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年1月30日 13時
