75馬鹿 階段がキツイお年頃 ページ25
「はい、暗い雰囲気はおしまい。彦ちゃん、昔にとわれていたら前には進めないよ。
昔は昔。今は今だ、今こうやって皆で出かけていられるじゃないか。
鉢屋と尾浜も失敗は成功のもとっていうじゃん。
ほらしょぼくれてないで早く金楽寺の和尚の所に行くよ」
私は彦ちゃんと庄ちゃんの頭を優しく撫でて鉢屋と尾浜の背中を軽くポンッと叩き前へと足を踏み出す。
四人はその場所を動かない。
「ほら、君たちが来てくれないと私道が分かんないんだから頼むよ」
私が後ろを振り向きながらそういうと四人はしばらく顔を見合わせていたがその顔も笑顔に変わりすぐ私の方に走り寄ってきた。
そしてなぜか尾浜と鉢屋だけ私の頭を一発ずつ叩いていきやがった。
私も殴り返そうかと思ったがその後にやってきた彦ちゃん庄ちゃんに背中を押され殴り損ねてしまった。
クッ、庄ちゃん達の顔に免じて今は勘弁してやる!
そう心に念じながら私と庄ちゃん達は二人を追いかけるため走った。
そうこうして町を抜けまた平坦な道を歩いていると長〜い階段が見えてきた。
いやいや長すぎるだろ。何でこんな高い山の上に寺を建てようと思ったんだ?
「一応聞くけどあの階段以外に金楽寺に行く方法は無いのか?」
「ない」
「だよな〜」
はぁとため息をついた。
登るしかねぇよなぁ……
私は気合を入れなおして階段を上り始めた。
最初はスタスタと上ることが出来たが中盤後半に行くにつれてゼェゼェと息が上がっていく。
ちなみに息が上がっているのは私だけのようだ。
そうかこいつ等は毎日授業とかで体を鍛えているから、これくらいの石段は楽勝なのか……
「Aさん、大丈夫ですか?」
私を心配してか尾浜が声をかけてくる。
そんな尾浜を見て私はとある事を考え付いた。
「尾浜……いや、勘子さん。私に向かって"Aさん頑張って!私応援してますから"って心をこめて
言ってくんない」
「は?」
尾浜は何言ってんだこいつとでも言いたげな目で私を見る。
腹が立つが背に腹はかえられない。
私はいいから早くとせかすと尾浜はしょうがないという風にコホンと咳をした。
目をつむり言葉を待つ私。
「Aさん頑張って!私応援してますから!ファイトファイトッ!!」
「おっしゃぁああ!!一気にいってやらぁあぁあ!!!」
可愛い女の子の声援のおかげで力がみなぎった私は残りの石段を一気に駆け上った。
私よりずっと前にいた三人もゆうに追い越して頂上を目指す。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時