72馬鹿 着物は歩きづらい ページ22
仕舞には山本先生まで……
「貴方は元は良いんだから日頃からちゃんとすればいいのに」
とまで言ってきた。
私はその言葉に「面倒だからいいです」と一言答えた。
こんなに面倒なこと毎日はしたくない。だって面倒だから。
大事な事なので三度言いました。
「さぁ、これで完成ね。もう皆正門にいるでしょうから貴方も行きなさい。道中には気を付けるの
よ」
「はーい、行ってきまーす。お母さーん」
「誰がお母さんよ!」
山本先生は綺麗な顔の頬をプゥッと膨らまして怒る。
おぉ、怒ってもなお可愛いとかさすがっす。
ちなみに今の私の恰好は薄い藤色をベースとし裾のあたりに小さな花が散りばめられている着物を着てそれに紫の帯を合わせて落ち着いた雰囲気となった。
髪には大人しめの簪を指している。簪とか初めてつけたわ。
私は先生とくのたまそして斉藤に背中を押されて私は部屋を出た。
勿論お礼は忘れずにした。
着なれていない着物のおかげでヨタヨタと小股で歩く私は早速体力を削られそうだ。
やっとの思いで正門についた私。
「秀作ー、いないのかー?」
「僕はここにいるよーってAちゃん!!どうしたのその恰好!?」
「学園長の使いで金楽寺の和尚の所に行くよう言われているんだ……てことで秀作」
「あ。出門表だね。はいこれにサインしてね」
「はいよ」
私は秀作から渡された筆でさらさらと自分の名前を今度はフルネームで書く。
こうしてみると初めてこの世界に来た日を思い出すわ〜
書き終わった出門表と筆を秀作に返す。
「はい、これでいいね」
「うん!じゃあAちゃん、気を付けてね」
「あいよ」
秀作に別れを告げて私は正門にある小さな扉を潜った。
「わ〜!!Aさんですよね!」
「すっごくお綺麗ですよ!」
「あ、ありがとう」
「!!!」
潜るとそこには私を見て歓声を上げた一年は組の庄ちゃんと一年ろ組の彦……何とか君、そして
「あ、夜這い男」
「だからちげぇって言ってんだろうがこのバカ女」
夜這い男…もとい双子の片割れ野郎がそこにいた。
なんでこいつがここにいるんだ?
私はモロに顔に出ていたのか庄ちゃんが彼を紹介した。
「この方は僕と同じ学級委員長委員会の委員長代理を務めていらっしゃる五年ろ組鉢屋三郎先輩で
す」
「あー長い説明ありがとさん……アンタが委員長代理ね〜、世も末だな」
「聞こえてるぞ、このアホ女」
最後の方は小さく呟いたつもりだったが奴には聞こえてたみたいだ。チッ
73馬鹿 いざお使いへ→←71馬鹿 まるで着せ替え人形のようだ
63人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時