69馬鹿 家族の話 ページ19
今日のご飯は煮魚である。魚の中身まで味がしっかりしみこんでいて身もホロホロしていて、一言で表すとめっちゃ美味い!
この味はご飯が進むわ〜。
「Aさん!ご一緒してもいいですか?」
「ん?えーと君らは一年は組の子達か?」
「いえ、僕は一年い組の今福彦四郎です」
「同じく上ノ島一平です」
「一年ろ組の初島孫次郎です」
「おーご丁寧に自己紹介ありがとさん、席どうぞ」
促すと三人は「ありがとうございます」と言い私の目の前の席に三人は座った。
そして仲良く「いただきます」といい食事をとり始めた。
こうしてみると私の十歳離れている弟を思い出した。
弟もご飯を食べる時だけはこんな感じだなぁ。食べる時だけは、普段はくぞ生意気な奴だ
「Aさん一体どうしたんですか?僕たちの顔をジーッと見て」
「え、あぁゴメン。君達が私の弟に似ていたからちょっとね」
「Aさんの弟さんですか?一体どんな方なんですか!」
子供達はキラキラとした目を私に向けてきたのでお味噌汁をズズッと一口啜り彼らに向けて話し始めた。
私の弟は日頃の時は憎まれ口しか叩かないがご飯を食べる時だけは素直でめっちゃ可愛いのだ。
「その弟さんはAさんにそっくりなんですね」
「まぁ、血を分けた兄弟だからね……はぁ、あの憎まれ口が恋しくなるなんてな」
ほぅと息を吐いた私を見た三人は何か言いたげにしているので話すよう私は促した。
「じゃあ、僕たちがAさんの弟になりますよ!!」
彦四郎が元気よくそう言った。
それにつられるように他の二人も頷く。
私は静かに首を横に振り口を開いた。
「気持ちは嬉しいけど君たちじゃあ役不足だ……私と血を分けた弟はアイツただ一人なんだよ」
「……そうですか」
三人は少し寂しそうな表情を浮かべてこちらを見る。
そんな顔をされても無理なものは無理なのだ。
私は三人の頭を優しく撫でながら言葉を紡いだ。
「君たちの気持ちは本当に嬉しい。私も君たちが弟だったらどんなにいいか。だけどやっぱり弟でし
っくりくるのはアイツなんだよ」
「Aさん……本当に弟さんの事が大事なんですね」
「あぁ、そうだな」
私は目を細めて彼らを見る。
弟もそうだが私は家族みんなが大切だ。家族の中で一番強い母親に母の尻に敷かれている父親、鉄道オタクとアイドルオタクである双子の兄貴、そしてバカ弟。
はやく家族に会いたいよ
私はご飯の茶碗を持ったまま後ろの窓から見える空を遠い目で見た。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時