64馬鹿 迷子のお届けに参りました ページ14
「えーと、君は左門だよな?」
「おぉ、誰かと思ったら元天女の秋里さんじゃないですか!僕が神崎左門ですか何か?」
「元もクソもねぇから……そうか君、作兵衛が探していたぞ」
そう言うと左門は「そうですか!」と言いその場を離れようとしたのですぐさま首根っこを掴んで阻止する。
すると、左門は不思議そうな顔をして私を見た。
「何ですか?僕はこれから作兵衛の所に行かなければならないんですけど」
「その作兵衛から頼まれたんだよ。君を見かけたら捕まえといてくれって……あと一人二之助だな」
「秋里さんそれ多分三之助ですよ。三之助ならあっちにいましたよ」
「そう三之助だった。君のあっちはどうにも信じられないな〜」
私は左門と手を繋ぎながら草むらの中へと入っていく。
そして二人で三之助の名前を呼びながら歩いた。
するとガザガザと音を立てて人が出てきた。
「あ、三之助!」
「おぉ、左門に元天女の秋里さんじゃないか」
「てめぇも言うかこの野郎」
ともかくこれで迷子二人を見つけた。私は片方の手で三之助の手を摑まえて草むらを出た。
そして、あてもなくブラブラしていると作兵衛が前から走ってきて左門たちを視界に入れると安心しきったような表情を浮かべていた。
「左門!三之助!お前たちどこに言ってやがったんだよ!」
左門たちは二人してあっちと言いながらまったく別の方向を指差していた。
だめだこりゃ。
「とにかく秋里さん、こいつらを見つけてくれてありがとうごぜぇやした!!」
「いえいえ、偶然見つけたようなもんだからそんなに気にすんなや。左門と三之助ももう作兵衛から
離れんなよ」
私はそう言ってその場を離れた。後ろから三人の声が聞こえる。
「秋里さん、本当にありがとうごぜぇやした!!」
「ヨシッ、忍たま長屋はアッチだーッ!」
「いや、こっちだろう」
「もうおめぇらは動くんじゃねぇぇぇえええ!!!!」
二人の見当違いな声と一人の怒号が後ろから聞こえてくるが、私はその声に振り返ることは無かった。
作兵衛よ、アンタは立派な男になるよ。
65馬鹿 迷子になるのは人だけではない→←63馬鹿 迷子センターは飴をくれる
63人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年1月30日 13時