５２馬鹿 図書室解禁 ページ2
学園長の庵につき障子を開けるとそこにはヘムヘムと一緒に茶を飲んでいる。あの二本足の犬は学園長の忍犬らしく名をヘムヘムと言う。最近一年は組の子達が教えてくれたのだ。
「学園長先生、秋里さんをお連れしました」
「うむ、ご苦労じゃったな三郎。あぁそこにおってくれ」
「はい」
学園長は私を目の前の座布団に誘導するので私は素直に座布団の上に正座した。正座するとヘムヘムが私の分のお茶を持ってきてくれた。マジでこの犬天才だわ
私は出された茶を飲める温度まで冷まして一気に飲み干した。うん、美味い
飲み干したのを見て学園長は口を開いた
「A、此度は上級生の目を覚ましてくれて本当に感謝する。ありがとう」
「いえいえ、そのお言葉は何度も聞きました。もうお腹一杯です」
あの大会後から学園長や他の教師、そして下級生たちからお礼を散々もらったのだ。もう胸やけがするぐらいなのだ
正直勘弁してほしい。
「そこでじゃ、お主には褒美としてこの学園の図書室を解禁しようと思う」
「図書室、ですか?」
学園長いわくこの学園の図書室には機密情報とかも保存されている為外部の者は入室厳禁だそうだ。そんな大切な場所私に見せてもいいのか?
そう思い訊ねると、学園長は私に見せても外部にもらすようなことはないだろうと言った。つまり私を信じているという訳だ。なんだかむず痒い気分だなぁ。
「図書室ならお主が元の世界に戻る手がかりが見つかるかもしれんからのぅ。三郎、Aを図書室まで案内してやりなさい」
「はっ!」
鉢屋が立ち上がり私の横に来たので私も立ち上がり学園長にお辞儀をして部屋を退室した。
私はスタスタと歩く鉢屋の後を追う。この時代の十五歳はでかいなぁユキちゃんとかも身長高いし……何でだ?
私はジッと鉢屋の背中を見ていると鉢屋がクルッと振り向いてニヤリと口元に弧を描いた。
その顔、なんか腹が立つ
「何ジロジロと私の背中を見ているんだ?私に惚れたか?」
「それは、世界が崩壊してもあり得ないから安心しろ。ここの人間は成長が著しくて羨ましく思って
いただけだよ」
「あっそ」
そう言い鉢屋は再び前を向いた。その時の顔はどことなく残念そうに見えたのは気のせいだろう。
そのまま鉢屋の後をついていくととある障子の前で鉢屋が止まったので私もつられて止まる。
目線を上にあげると木の板に墨で"図書室"と書かれていた。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年1月30日 13時
