１００幻獣 またお前か ページ50
「時にA様……おそれながら貴方様は召喚士ではありませんか?」
「! そ、そうですが……何故私の正体を?」
ビビさんとチャカさんと共に王宮の上の方で火薬がセットし終わるのを待っていた時にチャカさんが私にそう聞いてきた。
今の私は腕も胸元も本も隠しているし、ぱっと見で私が召喚士で分かるわけがないのだが。
「私は動物(ゾオン)系の能力者で……動物としての本能が貴方を召喚士だと言っているのです」
「確かに、クンフージュゴンも初めて会った私を召喚士と言っていましたし……まさか動物系悪魔の実でも分かってしまうとは思わなかったです」
今度から動物系の人にも気を付けなければ……いや、どうやって気をつければいいんだよ!
そう心の中でツッコミを入れながら、前を向く。
辺りには反乱軍と国王軍が戦う喧騒が響いている。
「召喚士である貴方様がいれば、我々も勝機が見えてきました」
「安心してるところ悪いですが、私はまだまだ力がありません。それに召喚士は全能でも万能でもない。だけど、出せる力は全て出し切ってこの事態を終わらせて見せます」
「ありがとうございます。そのお心だけでも十分です」
そう言いチャカさんは固く結んでいた口元を少しだけ緩ませた。
彼はその顔のまま隣にいたビビさんのほうに顔を向ける。
「それにしても、ビビ様は良いお仲間に出会いましたな……この戦争が終結をみた折には例の海賊達と大晩餐会を開きたいものですね」
「チャカ……えぇそうね」
「それなら、ちょっと覚悟した方がいいかも……うちの船長アホみたいに食べるから」
下手したらこの国の食料全部食べちゃうかもと冗談交じりに言うと、ビビさんとチャカさんは小さく笑みを浮かべて見せた。
少し周りの空気が和らいだと思ったところに、王宮の兵士の一人が慌ただしい様子で報告しにやってくる。
それと同時に背中に氷でも放り込まれたような悪寒が私を襲う。
この悪寒の原因を私は知っている。
そう確信した時、後ろの上の方から聞いたことのある笑い声が聞こえくる。
その笑い声に幾ばくかの嫌悪感を抱きながら私は、声のした方へ振り向いた。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年8月29日 22時
