【ONE PIECE】幻獣達と夢を見る～アラバスタ編～ (ページ49)

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９９幻獣　王宮での決断ページ49

オカマ野郎をサンジさんに任せて私はビビさんと共に王宮へと急いだ。
途中に何人かの敵に会いながらも何とか蹴散らして王国軍がいるところまで行くと、王国軍の一人が私たちを止める。

「お前達止まれ!」

「なんだ!? この半透明なやつは!?」

「ここは戦場で遊び場じゃないん……」

「分かってます」

息を整える為下を向いていたビビさんが面をあげると王国軍から驚きの声が上がる。
そりゃあそうだ、二年も行方不明だった王女が怪我だらけで戻ってきたのだ。
驚かない方がおかしい。

「ビビ王女!?」

「チャカの元へ案内しなさい! やってほしい事があるの!!」

ビビさんの号令で王国軍の一人が駆け寄りビビさんをチャカと呼ばれる人の元に案内する。
私は出していたシルフちゃんを本に戻しながら、これからどうしようかを考えていると、前を歩いていたビビさんがふいに後ろを振り向いた。

「Aさんも一緒に来てくれる?」

「ビビ様! このような者を?」

「彼女は私の大事な仲間よ……Aさん」

ビビさんがそう言うので私は周りで困惑している兵士たちに軽く頭を下げながらビビさんの後ろへついて行った。
王宮の中と思われる場所まで行くと一兵士とは比べ物にならないほどの存在感を醸し出す一人の男性がビビさんの姿を見ると心底ホッとしたような表情を浮かべて見せる。

感動の再会もそこそこにしてビビさんは驚くべきことを口にすると、周りにざわめきがおこる。

「正気ですかビビ様! そんな事をしたら……」

「そんなことしたら何? 国が終わっちゃう? 違うでしょう、ここがアラバスタじゃないものね!?」

アラバスタ王国は今傷つけあっている人達だ、彼らがいてここは初めて"国"なのだ。
それを必死に伝えるとチャカと呼ばれた男性はしばらくビビさんの顔を見続けている。

「お願い! この王宮を破壊して!」

「チャカ様! ご判断を誤りなさるな!」

「この宮殿は四千年も続く由緒正しき王宮ですぞ!」

そんな声が響き渡る中、ビビさんと向き合っていたチャカさんがザッと彼女の前で跪いた時、辺りに響いていた声がピタッとやんだ。

「おっしゃる通りに!!」

チャカさんはビビさんの覚悟を受け取り、この長き歴史を持つ王宮を破壊する決断を下したのだ。
跪いた彼はすぐさま周りにいる兵士たちにありったけの火薬をセットするよう指示を出した。