７５幻獣 突然の殴り合い ページ25
「!!…なんだ?」
「おうどうした?A」
「いや、何か背筋が寒くなった気がして……まぁ大丈夫だよウソップさん」
「それならいいが…あんま無茶すんなよ」
「その言葉そっくりそのまま貴方に返すよ」
ニッと口元に笑みを浮かべるとウソップさんもニッと笑みを浮かべてみせた。
そう思いルフィさんの所に行くともう皆集合していた。しまった私達が最後だったか。
「じゃ私たち行くわ、おじさん」
「あぁ…そうじゃルフィ君これを持って行きなさい」
「うわっ水じゃん!!出たのか!?」
「水ーー!?」
トトさんがルフィさんに渡したのは小さな樽に入った水だった。
どうやらトトさんは夜通し地面を掘っていたらしくルフィさんが眠ってしまった直後湿った地層までたどり着いたらしい。
それをなんとか蒸留して水を絞り出したのだと言う。
そう説明するがルフィさんは理解は出来ないが大切な水だという事は理解できたようだ。
こうしてユバの町を離れた私達だがユバの町が見えなくなった頃ルフィさんは枯れ木に背を預け座り込んでしまった。
皆何事かと思いすぐルフィさんを呼ぶが彼は頑なに動かない。
「んん……」
「どうしたの…?ルフィさん」
「やめた」
この場の空気がピッと張り詰めたのを感じた。
しかしすぐにサンジさんがまくしたてるがその言葉にも「つまんねぇ」の一言で片づけてしまう。
「……ビビ」
「なに?」
「おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ!!」
「!!」
「氾濫してる奴らを止めたらよ…クロコダイルは止まるのか?その町へ着いても俺たちは何もすることはねェ、海賊だからないねぇ方がいいくらいだ」
「……コイツは考えもなしにたまに核心をつくよな」
「ルフィのくせにな」
サンジさんとウソップさんの言う通りだ。あのルフィさんがこんな事をいうなんて。
まぁ本能で生きているから当たり前といえば当たり前か。
それからルフィさんとビビさんの殴り合いが始まってしまった。
殴り投げられながらルフィさんは自分の思う事を言う。
「この国を見りゃ一番にやんなきゃいけねェことくらいおれだってわかるぞ!お前なんかの命一個で賭け足りるもんか!」
「じゃあ一体何を賭けたらいいのよ!!他に賭けられるものなんて私何も…!」
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ!仲間だろうが!」
「!!?」
ルフィさんの心からの言葉にビビさんは今まで耐えていた涙腺を決壊させた。
そしてルフィさんは言った。
「教えろよ、クロコダイルの居場所!!!」
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年8月29日 22時
