６４幻獣 前の召喚士 ページ14
「つまり、Aがもっている本には意思があってその本と頭の中で会話が出来るってわけね、急に黙るから心配したじゃない!」
「ご、ごめんって……まぁ私も召喚士になって日が浅いから正直何も知らないんだ、本、グリモワールも私が聞かない限り教えてくれない薄情な野郎なんだよ……」
「グリモ何とかって誰なんだ?」
「グリモワールだよルフィさん……私が使ってるこの本の名前だよ」
わけのわからない顔をして鼻をほじっているルフィさんにそう説明すると彼はまた興味を失ったようで河の方へと歩いていってしまった。本当に彼は自由人だな。
「じゃあ、Aの前の召喚士は前にこの国に来たことがあるってことなのか?」
「多分ね。召喚士は幻獣を操れると同時に現世に生きている動物も操れるらしい……まぁ私にはまだ力がないからそんな事できないけどね」
「召喚士ってやつも謎だらけだな」
「まったくもってその通りですわ」
あらかた説明し終わった私達は再び歩みを進めようと振り向いたとき「ウオ―!」という雄たけびが聞こえた。
この声はルフィさん?
彼の声がした方向に進むとルフィさんがクンフージュゴンに勝っていたのだ。
「ルフィさん!勝ったらダメよ!!勝負に敗けたら弟子入りするのがクンフージュゴンの掟なの!!」
「武闘派だな」
ルフィさんは瞬く間に弟子を増やしていった。
しかしたくさんのクンフージュゴンを連れては歩けない為チョッパーと私でどうにかクンフージュゴンを説得した。
この説得の際に食料の大半をあげてしまったがまぁしょうがないとしよう。
「まったく、チョッパーとAが説得してくれなかったらえらい事になっていたのよ」
「いいじゃねぇか連れて行けば」
「あんな大所帯で行ったら町になんて入れないでしょうが!馬鹿ね!」
「しかし、この国のジュゴンは変わってんなぁビビちゃん、河に住んでんだ」
「……ううん海よ…太古の昔からこの国をずっと潤してきた大いなる河"サンドラ"も近年ではかつての勢いを失って下流に海の浸食を受けているの」
「つまりあの河の水は海水で飲み水にも作物に与える水にも使えないってわけか」
「そうなの」
「それで枯れたのか?この町は……」
ゾロがそう言うとビビさんはフッと顔に影を落とした。
彼女が言うにはこの町はまれに降る雨水を溜めて何とか町の緑を保っていたのだが、ここ三年パッタリと雨が降らなくなったのだという。
しかし王の住む首都"アルバーナ"だけは雨が降ったそうだ。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年8月29日 22時
