42馬鹿 いきなり呼び方を変えると意識してしまう ページ42
「次は〜○×駅〜○×駅です〜、お降りの際は〜……」
「お、この駅だろう?降りるぞ」
「う、うん」
私は今だにドキドキする心臓を必死に抑えながら電車を降りた。
鉢屋に気付かれ無いように小さく深呼吸をする。
「何してんだ?ほら、行くぞ」
「あ、うん……てか、お前が先に行っても私の家分からんだろうが!ここでいいよ、お前も帰りな」
「ばーか、こんな暗い中を恋人を一人だけで帰らす彼氏なんていないだろうが」
「……お前のそう言うとこズルいわ〜」
私は熱くなった顔を手で覆いながらそう言った。
塞いだ目からは情報を得ることはないが、塞いでいない耳からは鉢屋の小さな笑い声が飛び込んでくる。
コイツ、マジで殴りたい……。
「ハァ〜、よし!じゃあ、さっさと帰ぇるぞ!」
「A、女が親父くさい事言うんじゃない」
私はそんな鉢屋の言葉に「うっさい!」と投げつけてずんずんと先へ進んでいく。
そんな私の様子を見た鉢屋は小さくため息をついた。
駅からそう遠く離れていない私の家はあっという間についてしまった。今私達は家の玄関前にいる
ちなみに私の家はローン付きの一軒家である。数年前親父が何を思ったのかいきなり「そうだ、マイホームを買おう」と何処かで聞いたことのあるキャッチフレーズに似たようなことを言いだしたのだ。
こればっかりは親父の頭を引っ叩きたくなった。
まぁ、過ぎたことだからもう何とも思ってはいないが……。
「ここがAの家か……意外と普通だな」
「お前は私の家にどんなイメージを持っていたんだよ」
「聞きたい?」
「……いや、やめとくわ」
何となく嫌な予感したため鉢屋の申し出を断った。
コイツは、たまに人とずれた想像力を発揮することがあるからな〜。
私と鉢屋は自分家の玄関前で少しの間他愛もない話をしながら笑いあい、そして笑いあった後お互いに見つめ合い、唇を重ねた。
「……お休み、A」
「お休み……三郎」
何故か鉢屋の下の名前が呼びたくなってそう呼ぶと鉢屋は今日で一番だと思われるぐらい顔が真っ赤だった。
あ、この顔を写メっとけばよかった……。
「……ズリィよ、A」
「フフッ、日ごろの仕返しだよ……じゃあね、鉢屋」
「なっ!?デレ期もう終了かよ!」
「当たり前だ、お前が卒業するまではおあずけに決まってるだろうが」
「……チッ、分かったよ、じゃあ、今度こそお休み」
「あぁ、お休み」
こうして私は家の中に鉢屋は大川学園寮へと帰って行った。
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長月シキカ(プロフ) - 月花道蒼斗さん» コメントありがとうございます!私も絶対可愛いと思います^ ^ これからも頑張りますので、よろしくお願いしますね( ^ω^ ) (2017年5月22日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
月花道蒼斗(プロフ) - こっちの方にも来ました!やっぱりいいですね!四年生と五年生の女の子バージョン見たいですね。本気で見たい。絶対可愛い。 (2017年5月22日 23時) (レス) id: 53496b0259 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 舞姫桜さん» コメントありがとうございます!こんな作品を楽しみにしていただけているなんてとても嬉しく思います!これからも頑張りますのでどうかよろしくお願いしますね( ^ω^ ) (2016年6月13日 11時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫桜 - 来ちゃいました。毎回、とても楽しませて頂いています!更新頑張ってください! (2016年6月13日 9時) (レス) id: 308a4dd197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2016年5月22日 23時