【MHA】二つの口は愛を語りたい＝第三部＝ (ページ24)

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124話ページ24

副園長の口から放たれた私を気遣うようなその言葉に嬉しく思いながら、彼女に向かって笑みを浮かべて見せる。
彼女の方へ向けていた顔をゆるりといまだ行方不明事件について報道しているニュースへとやると、その画面には今回行方が分からなくなった"頭に二本の角を生やした男の子"が映し出されていた。

ここ最近世間を賑わせているこの行方不明事件。
まだ犯人も分かってはいないこの事件だが、一つだけ共通点がある。
それは、被害者の全員が、"異形型の個性持ち"だということだ。

最初の一、二件目はそれぞれ別の事件として報道されていたが、三件四件と続くと警察は同一犯による連続行方不明事件ではないかと見解を述べていた。
確かに偶然にしては出来過ぎている。

この養護施設に異形型の個性を持っているのは私だけ、他の子達は皆それ以外の個性を持っている。
犯人の意図は分からないが、もしこの中で仮に狙われるとしたら"二口"という異形の個性を持つ私だろう。

今報道されている事件の被害者は皆十歳以下の子供達ばかりだが、ここから先も子供だけを狙い続けると言う保証はないし私も気を付けるに越したことは無いな。

「ほらAちゃん。朝ごはん食べちゃいなさいな。遅刻しちゃうわよ――ちょっと園長先生! 目玉焼き焦げてますよっ」

「あ、しまった! 火加減間違えたっ!」

コンロにかけていたフライパンから黒い煙がくゆるのを見て、慌てた様子の二人を視界に収めつつ言われるがまま席について朝食を摂る。

「いただきます」

両手を合わせて静かにそう言い、添えられていた己の箸を手に取る。
朝ごはんのおかずとして並べられた目玉焼きにゆっくりと箸を入れると、入れた先からとろりともれ出た黄身がお皿を色付けた。

真白いお皿に黄身の黄色がとても綺麗に見え、テンションが上がった自身の口元に自然と笑みが浮かぶ。
うん、本日も綺麗な半熟である。

毎日美味しい食事を作ってくれる二人に感謝しながらも、施設を出る時間が迫っている為いつもよりも手早く口を動かした。

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それから、数日が経った。
最近のニュースは先の行方不明事件ばかり報道しており、雄英でもその事件の話で持ちきりだ。

数日前までは五件だったこの事件も今では十件は優に超えるまでになり、世間では事件への恐怖や警察やヒーローに対する不信感が漂い始めだした。
日に日に被害者の数は増え続け、今では異形型の個性を持つクラスの子達も明日は我が身かと怯えている。