【MHA】二つの口は愛を語りたい＝第三部＝ (ページ18)

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118話ページ18

時は流れ、放課後。
今日の授業もハイペースだったなと思いつつ、忘れ物をしていないか今一度机の中を確認してからスクールバッグを手にする。

今日は特に用事も無いし人使君に差し入れしてから真っ直ぐ帰るとするか。
教科書が入っているのとは別の保冷バッグのファスナーを開け、中身を確認する。

その保冷バッグの中には、数個の保冷剤とスポドリが一本にゼリー飲料が二つ入っている。
中身の物がちゃんと冷えているか確認する為に中身の物に触れてみると、指先にひやりと冷えた温度が伝わった。

流石お店で評判の良かった商品だ、結構な時間がたっているのにまだ冷たいままだ。
"長時間保冷保温が可能"と書かれた可愛らしいポップは嘘じゃなかったことに安堵しつつ、中身が出ないようにファスナーをきっちりと閉める。

スクールバッグとまばらに生徒が残る教室を抜け出し、人使君が特訓している場所を思い浮かべる。
人使君から聞く限り特訓場所は日によって変わるとの事だが、大体は体育館か学園の敷地内にある林の中のどちらかだ。

まずは体育館に向かうかと目的地を決め、私は体育館がある方へと足を向けた。

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然程時間をかけずに辿り着いた体育館の出入口に近づくと、中から何やら物音が聞こえてきた。
おっビンゴか、と謎の達成感のような感情を抱きながらも、特訓の邪魔にならないか確認する為ひょこっと出入口の隙間から顔を覗かせる。

きっと特訓しているのだろうと思いつつ中を覗いたが、私の視界に映る光景はその考えとは違ったものだった。

視界の先にあったのは、スポーツドリンクを手にした人使君とそんな彼に話しかける女子生徒の姿であった。
二人は出入口から離れた体育館の壁際で会話をしている為、何を話しているのかは分からない。

彼と話す女子生徒は私のクラスでは見たことのない子だが、人使君のクラスメイトか他のクラスの子なのだろう。

あの雄英体育祭が終わってから心操君に声をかける人が多くなった気がしていたが、それは気のせいではなかったようだ。

離れた距離にあるここからでも彼女の表情は分かる。
あの女子生徒は、人使君に好意を抱いているのだ。

ほんのりと顔を赤く染めながら会話を続ける女子生徒を見る限り、この感はきっと当たってしまっている。
横顔からしてあの女子生徒が美人なのは確かで、素直にお似合いだなと思った。
ツキリと痛む胸の内を無視しながら、そう思った。