【MHA】二つの口は愛を語りたい＝第三部＝ (ページ15)

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115話ページ15

久方ぶりに人使君と一緒に帰路につき短いながらも楽しい時間を過ごしてから早数日がたち、気付けば"期末テスト"という単語が生徒間のあちこちで聞こえ始めた今日この頃。

午前の授業も終え教室を出た時に同じように教室を出たらしい人使君と偶然会った私は、彼と共に毎度お世話になっている食堂へ向かった。

今日は魚が食べたい気分だった為、サバの味噌煮が主役の日替わり定食に決めた。
ちなみに、人使君はお皿一杯に盛られた大盛りのカツカレーを注文し、それにプラスでトレーの空いた場所に総菜パンが二個ほど乗せられている。

そんなに食べてお腹は大丈夫なのかと聞いたら、ある先生との特訓が始まって以降これぐらい食べないと後々持たないらしい。
どうやら、先生との特訓は私が想像している以上に過酷のようだ。

ほかほかと湯気の上がるサバの身に箸を入れ、その余りの柔らかさにおぉと心の中で感嘆の声を上げる。
ふっくら柔らかく崩れた身を箸で挟み口へと運ぶと、味噌の濃いコクと鯖本来の旨味が口一杯に広がりご飯を掬う箸が止まらない。

正面に座る人使君と最近あった事や授業について軽く会話しながらもくもくと食べ進めていると、周りで食事をしている生徒達の会話から"期末テストかぁ""テストとかやばい"等とちらほらと聞こえてくる。
そんな生徒の会話に心の中で同意しながら、定食についているお茶で口の中をリセットする。

確かに期末テストは中間テストとは違いめちゃくちゃ範囲が広く今から頭痛がしてくるが、生徒である限りは避けては通れない道である。

勿論日々の予習復習は欠かさないが、だからといって油断は禁物。
テスト本番で変なケアレスミスとかしないよう、テストに向けて隙間時間に日々勉強を進めていた。

とはいえ、毎日毎日勉強ばかりしていても気が滅入るし、なにより集中力が持たない。
だからこそ、休める時はしっかりと休んだり、時には気分転換をしたりして勉強へのモチベーションを上げるのだ。

閑話休題

「期末テストなぁ――やっぱ雄英って国立なだけあって授業も進んでるよな」

「そうだね。中学の時より予習復習の大切さが身に染みてる気がするよ」

「分かる」

そう言いながら人使君は、ぐぁと大きく口を開けてカレーが乗ったカレースプーンを口へ運ぶ。
ちらと目線を正面へ向けると先程まで山盛りに盛られたカツカレーが三分の二程消えているのに気づき、やっぱり男の子は食べるのが早いなと心の中で何気なく思った。