６無個性 ページ6
相澤先輩から頼まれた書類の整理を終えた私は人気のない廊下を歩いていた。
次の仕事の事を考えつつ廊下を歩いていると、廊下の隅でうずくまる黄色い影が目に入りすぐさまその影の元へと駆ける。
「オールマイト先輩、大丈夫っスか?」
「ゴホッゲホッ! あ、秋嶋、く」
「無理に話さなくていいっス。とりあえず吐けるだけ吐いちゃってくださいっス」
周りに人がいないかを確認し小声で名前を呼ぶ私に、オールマイト先輩はむせつつ言葉を発しようとするのを私は止める。
そして、持っていたハンカチを先輩の口元にやりながら彼の背中を優しくさすってやる。
ゲホゴホッと咳き込むたびに私の白いハンカチが赤色に染まっていくのを見て、オールマイト先輩が申し訳なさそうに声を発した。
「すまない、君のハンカチを……汚してしまって」
「何言ってるっスか。ハンカチなんていくらでも汚してもらって構わないっス。それより、落ち着けたっスか?」
「あぁ」
だいぶ呼吸も正常に戻ってきたオールマイト先輩はゆっくりと立ち上がり、口元の端から零れる血を拭い取る。
「ありがとう秋嶋君。ハンカチは後日返すよ」
「別にいいっスよそのままで。ちょうど赤いハンカチが欲しいと思ってたっスし」
そう言い先輩の手からハンカチを回収し二ッと笑って見せると、先輩は少しだけ目を見開いたがすぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「じゃあ自分はこれで。先輩は少し安静にした方がいいっスよ」
「これぐらいいつものことだから大丈夫だよ」
そう言って笑うオールマイト先輩に私は少しだけ眉をひそめ、彼を見上げる。
仮に医師免許を取得している私からすると、先程の彼の言葉にはちょっと思うとこがあるのだ。
「オールマイト先輩、吐血に慣れちゃ駄目っス……自分これでも医師免許持ってるっスから言うっスけど、今の先輩はいつ倒れてもおかしくないんスよ」
「!」
「この学校や世間にはまだ先輩を必要としている人が大勢いるんスから、ご自分の体をもう少し大事にしてほしいっス」
「秋嶋君」
そう本心を言うと、申し訳なさそうな表情を浮かべたオールマイト先輩の口からこれまた申し訳なさそうな声で私の名前を呼ばれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
