３２無個性 ページ32
校長室を後にした私が職員室に入ると、その場にいたミッドナイト先輩や13号先輩らが、穏やかに出迎えてくれた。
そして先輩らも校長と同じような事を言ってくれて、私は収まりかけた熱が再び頬に集まっていくのを感じた。
「でも怪我がなくて本当に良かったわ」
「ご心配おかけして申し訳ないっス。怪我は全然ないっスよ」
私は笑みを浮かべつつ、グッとガッツポーズを取ると先輩らはホッとしたような表情を見せた。
「それにしても今回の事件のヒーローはAちゃんに決まりね」
「じ、自分がヒーロー? そんな自分なんか恐れ多いっス!」
「何言ってんのよ! 敵、それも武器を持った敵に立ち向かったのよ。並の人間ができる事じゃないわ」
「いやでも、あの時は衝動的というかなんというか……」
「その気持ちがヒーローには大切なんだよ」
ミッドナイト先輩に頭を撫でられながら、13号先輩がそう言う。
それを聞いた私は、気恥ずかしいやら嬉しいやらで自然に口元が緩んでいった。
＊
＊
＊
それからいつものように仕事をし、はやくも放課後となった。
資料室での仕事をすました私が職員室へ戻ろうと1-Aの教室を横切ると、ふと私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「Aさん!」
「ん? 芦戸さんじゃないっスか。自分に何か用っスか?」
「今朝ひったくり犯捕まえたんだってね!」
「よく知ってるっスね。先生たちから聞いたんスか?」
「ううん、ネットで上がってるのを見たんだよ! Aさんも見てみてよ」
芦戸さんに促されるまま教室へと足を踏み入れると、中にはまだまだ生徒達が残っていた。
生徒達は私の存在に気づいたのか、凄いと褒めそやしたり、怪我の有無を問うたりとそれぞれの反応を見せる。
そんな生徒達に応えつつ、私は芦戸さんの携帯の画面を覗き込んだ。
「これは……」
「ねっ、凄いでしょ!」
彼女が見せてくれた画面には、私がひったくり犯を投げ飛ばした瞬間が写真にバッチリとおさめられていた。
そして、その写真の下には色々と書かれていた。
朝の出来事がもうニュースになっているなんて、マスコミの仕事の早いこと早いこと。
「やっぱカッコいいなAさんって! 俺もこんな風に漢らしくありたいぜ!」
「切島、Aさん女性だぞ」
瀬呂君の言葉にハッとした切島君が勢いよく私に頭を下げる。
そんな彼に私は気にしてないと告げた。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
