３１無個性 ページ31
「邪魔だっつってんのが分かんねぇのか!」
そう叫び男は持っていたナイフを振り上げ勢いよく振り下ろす。
振り下ろされた切っ先は私に当たることなく空を切った。
紙一重でナイフを避けた私は伸びてきた男の腕を取り、そのまま背負い投げた。
ダンッと男は地面に倒れ伏せ、痛みで呻いている間に私は鞄の中に入れていた紐で身動きが取れないように男の手足を縛り上げる。
勿論ナイフは回収済みだ。
ちなみにこの紐は、相澤先輩から教わった捕縛布の扱い方を練習する為に用意した紐である。
「こんなもんか」
男の身動きが取れないことを確認した私は鞄から携帯を取り出して警察に連絡しようと携帯の番号をタップしかけた瞬間、私の耳にパトカーのサイレンが聞こえてきた。
どうやら野次馬の誰かが既に警察に連絡してくれたようで、すぐ近くにパトカーが停車する。
パトカーから降りてきた警察の人に簡単に事情を話すが、重要参考人として一緒に署に来てほしいと言われた。
最初は仕事があるからと断ったが、警察の人の押しに負け私はパトカーに乗車した。
「あ、先に仕事場に連絡いれていいですか?」
このままでは遅刻になると思い警察の人にそう聞くと、彼らは快く許可してくれた。
そんな彼らに礼を言って、私は校長の連絡先をタップし電話をかける。
電話に出た校長とやり取りをしている間に、パトカーはエンジンをかけ発車した。
＊
＊
＊
「失礼します」
署の外まで見送ってくれた警察の人に頭を下げ、私は署を後にする。
携帯で時間を確認すると、既に半日経っていた。
「もうこんな時間か、はやく仕事場に行かないと」
私は携帯をしまい、駆け足で雄英へと向かう。
途中でタクシーを拾えたおかげで、存外はやく雄英にたどり着くことが出来た。
「遅れてしまって申し訳ないっス」
タクシーを降りた私はその足で校長室へと向かい、頭を下げる。
すると、愛らしい顔をした校長はアーモンド状の瞳を少しだけ細めた。
「いやいや、君が謝ることはないよ。むしろ君は立派な事をしたんだ。もっと自信持ちなよ」
「そんな……。勿体無いお言葉っス」
校長の言葉に私は自然に頬に熱が集まっていくのが分かる。
そんな私を見つめる校長から労いの言葉をいただき、私は校長室を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
