３無個性 ページ3
しかし、ここでため息をついてしまえばまた面倒くさい事になる為それをグッと堪える。
そしていまだにニヤニヤ笑みを浮かべるマイク先輩に、私は口を開いた。
「あー、さっきはナマ言ってすいませんっス。どうか許しては貰えないっスか?」
「そうだな……ランチラッシュの特別ランチ一週間で手を打ってやっても良いぜ」
「ら、ランチラッシュの特別ランチ、それを一週間……スか?」
彼の言う特別ランチとは、安価な一流料理とは別に少々値が高い名前の通り特別なランチなのだ。
いつもならそれでも構わないのだが、今は給料日前で少々懐が寂しい。
その状態で、特別ランチ一週間なんてしたら私の懐はあっという間に氷河期を迎えてしまう。
それは酷く困る、だけどトマトを食べるのは厳しい。
そんな板挟みにあいつつ、私は一つの決心をして全ての元凶であるトマトにフォークを刺した。
「今回は懐が厳しいっスから、特別ランチは無理っス……ええいままよ!」
私は意を決して、トマトが刺さったフォークを口に運んだ。
その瞬間、マイク先輩の声が耳に入る。
「おいっ! 向こうでイレイザーがブレイクダンス踊ってるぜっ!」
「えっ嘘っ!?」
超見たいんだけど!
私は自分の中に浮かんだ欲望のままマイク先輩が指さす方向を見るが、そこには相澤先輩なんていなかった。
それにより先ほどの言葉が嘘だと気付いた瞬間、私の右手が異様な力で引っ張られる。
私はその異様な衝撃を確認しようと首を回すと、視界にうつったのは私の手首を掴みトマトが刺さったフォークを銜えているマイク先輩だった。
マイク先輩は口でフォークからトマトを引き抜き、モグモグと咀嚼をしすぐにゴクリを喉を動かす。
そして、口元に弧を描きながら口を開いた。
「これでいいか?」
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。じゃあ、俺は行くわ。シーユーッ! A」
そう言い私に背を向けるマイク先輩に、私は放心状態でその背中を見つめる。
なんだ、あのキザっぷりは。
ていうか、これって一週間特別ランチ奢らないといけないのか?
私はドキドキと鼓動する心臓を抑えつつ、そう思っていると私に背を向けていたマイク先輩が首だけをこちらに向けて言葉をかける。
「あ、さっきのはちょっとしたジョークだから気にすんな」
「じ、ジョーク?」
「そっ。じゃあな」
そう言って先輩は今度こそ私の傍から離れていく。
そんな彼の後姿を見送り、私は小さく笑みをこぼすのだった。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
