１９無個性 ページ19
その蹴りを腕で何とか防ぎ、私はすぐさま相澤先輩と距離を取る。
一応手加減はしてくれているらしく、先輩の蹴りを防いだ腕はビリビリと痺れ痛むくらいですんだ。
多分、彼の本気の蹴りを受けたら私の腕なんてすぐに使い物にならなくなっていたことだろう。
私は痛む腕を擦りつつ、先輩の次の行動を見やる。
「どうした? お前から来てもいいんだぞ」
「……じゃあ、お言葉に甘えてっ!」
相澤先輩の分かりやすい徴発にあえてのり、私は素早く彼の懐目指して駆けいい感じのところまで近づけた私は腰を捻り、利き足を大きく振り上げる。
USJ襲撃の時みたいなチンピラだったら上手くいったが、プロヒーローである先輩には通用しなかった。
私の後ろ蹴りをいとも簡単に受け止められてしまい、私の足は先輩の大きな手でガッチリと掴まれ体勢的に物凄く辛い。
「悪くはねぇ蹴りだが、こうやって掴まれたらどうするつもりだ?」
「うぅ〜〜っ!」
視界の端に先輩がニヤリと悪い笑みを浮かべているのが見える。
今の体勢から脱却する術が見つからず、私は悔しさを滲ませた声色で「ま、参ったっス」と伝えた。
私の言葉を聞いた相澤先輩がパッと私の足から手を離してくれたので、私はすぐに体勢を戻す。
無理な体勢のせいで若干腰が痛い。
「秋嶋さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫っスよ!」
少し離れた所で見ていたセメントス先輩が私に近づき心配の声をかけてくれるので、私はそんな彼に笑みを浮かべて返事をする。
「それにしても、やっぱり相澤先輩強いっスねぇ」
「俺がお前より弱かったらプロヒーローなんてやれねぇよ」
「それはごもっともっス……もう一度お相手お願いできませんっスか?」
「……いいだろう」
私は悔しさからそう頼むと、意外にも先輩は私の頼みを了承してくれた。
そして、私はもう一度フィールドに向かった。
＊
＊
＊
「ゼェー……ハァ……ゲホッエホッ……」
「……大丈夫か?」
地面に大の字になって荒く息をする私を相澤先輩が見下ろす。
セメントス先輩は他の先生に呼ばれ、少し席を外している。
心配そうな表情で見下ろす彼に息も絶え絶えに「大丈夫」と告げるが、「大丈夫には見えない」と一喝されてしまった。
あれからずっと先輩と組手をしたが、結果はさんざんである。
でも先輩がどこが悪かったのかどうすればいいのかとか逐一教えてくれたから悪い時間では決してない。
だいぶ落ち着いてきた私が上半身をあげると、先輩が話かけてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
