３８無個性 ページ38
13号先輩は戸惑いながらも夢彦から差し出された手をとり握手をかわした。
「全く、被せるくらいなら自己紹介ぐらい最初にしておけっスよ」
「だって、アンタが友人なんてつれない言い方するのがわ悪いんでしょっ。それよりまだそんなおブスな話し方してるのね」
「おブスは言い過ぎっス。この話し方に慣れちゃったんだからしょうがないじゃないっスか」
「普通は慣れないわよ」
ハァと呆れため息をつく夢彦を軽く小突いていると、13号先輩の何か言いたげな雰囲気に気づき私は先輩に話しかける。
「夢はいわゆるオネエといわれる部類っスけど、悪い奴じゃないっスから気軽に接してやって欲しいっス」
「人を猛獣みたいに言わないでちょうだい! ……まぁでも、変に気を使われる方が苦だから普通に接してくれると嬉しいわ」
目を細め綺麗に笑んで見せた夢彦に13号先輩は納得したのか「分かりました」と一言こぼした。
「やぁ、早速打ち解けたみたいだね」
「こ、校長! いつの間に」
「最初からいたさ。彼を職員室に連れて来たのは私だしね」
私の足元で私を見上げる校長の言葉を聞いて、だから夢彦がここに来れたんだと理解する。
私が言うのもなんだが、この学校はとにかく広く複雑な構造となっている。
長く勤めた教師ならいざ知らず、素人の人間が迷わず目的地に着くことなどまず不可能なのだ。
私は密かに浮かんでいた疑問が解決し内心ほっとする。
しかし、頭の中に再び疑問が膨れ上がり、私はその疑問を夢彦人間が投げかけた。
「そういえば、夢。お前今日の特別授業は午後からじゃなかったっスか? なんでこんな時間に」
「そんなの早くアンタに会うために決まってるじゃない! アメリカでバタバタしててようやく出来た時間でアンタに連絡しようとしたら連絡つかなくて、それて日本のこと調べたらアンタのおブスな妹が豚箱にぶち込まれて、アンタの父親の病院も潰れたって知って、私心配で心配で急いで日本に戻って来たのよ!」
「そ、それは……面倒をかけたっスね」
「バカね。面倒なんて思ってないわよ! でもこうして会えて本当に良かったわ」
まるで労わるような眼差しで自分を見下ろす夢彦に、私はどうしようもない嬉しさが込み上がるのを感じた。
まさか医学生時代の友人がここまで私を心配してくれていたなんて。
私は嬉しさで上がる口角を更にあげ笑う。
「ありがとう、夢」
そう言うと、夢彦は目を数回パチクリさせたがすぐに笑みを浮かべた。
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長月シキカ(プロフ) - メホニアンさん» コメントありがとうございます！マイク先生も相澤先生もかっこいいですよね^ ^ 更新頑張りますのでよろしくお願い致します！閲覧感謝です^ ^ (2017年11月28日 13時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
メホニアン(プロフ) - トマトを食べた後のマイク先生に、キュンとしました。優しい相沢先生に惚れました。更新頑張ってください！！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: dbe6c4db20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年11月4日 23時
