７無個性 ページ7
雄英での面接を終えた私は帰路についていた。
しかし途中で小腹がすいてきた為近くの公園のベンチで少し速めの昼食を取ることにした。
春先の朗らかな陽気の下で子供たちが元気に走り回っている。
そんな可愛らしい子供達をぼんやりと眺めながら面接の前に買っておいたツナマヨのおにぎりと比較的安価なお茶を鞄から取り出す。
「いただきます」
ぺリぺリとおにぎりの包装を破きパクリとおにぎりに齧り付く。
パリっとした海苔にツナと相性が抜群なマヨの酸味が滲み込んだ米が口の中で混ざり合う。
この瞬間が、私にとっては幸福の瞬間である。
「やっぱり、おにぎりはツナマヨが一番だな」
誰に聞かれることのない言葉が自分の頬を撫でる風が攫って行く。
モクモクと食べ進め乾いてきた喉をお茶で潤しふぅと一息つく。
もう一個買っておけばよかった、と少しばかり後悔しながらふと目線をあげると、公園の出入口の近くある横断歩道の前で制服を身に纏った青年と大きな荷物を担いだお年寄りがなにやら口論しているのが目に入った。
それを見た私はすぐに食べ終わったごみをコンビニの袋に入れお茶と一緒に鞄の中に放り込み彼らのもとへと駆け寄る。
「もしもし、何があったんスか?」
「な、なんじゃお前は!?」
「通りすがりの者っス。なにやらいざこざが起こっているように見受けられたっスからつい口を挟んじゃったっス……よろしければ自分にも何があったのか教えてはもらえないっスか?」
「こやつらがワシを年寄り扱いしよったんじゃ!! ワシはまだ八十じゃというのに!!」
「いや、ですから俺達は……」
「きぇぇい! まだ言うか!!」
前髪をアップした青年が弁解しようと口を開くがお年寄りは相当怒っているのか話を聞こうとしない。
そんな彼の後ろで青みがかった黒髪の青年は顔を青くしている。
私は、そんなお年寄りに少々大げさに声をあげた。
「えぇ!? おじいさん八十歳なんスか? 全然見えないっス!!」
「!! そ、そうか?」
「そうっス! 自分もっと若く思ってったっスもん! いやー本当に若々しいっスね!」
「ホッホッ! まぁ伊達に三十年間寒風摩擦をやっておらんからのぉ」
若いと言われたのが相当嬉しかったようでおじいさんは、先程までの怒りの表情から得意げな表情に変わった。
お爺さんの変わりように、青年たちはまさに開いた口が塞がらない様子で私を見つめていた。
そんな彼らに私はニコリと一つ笑みを浮かべて、口を開いた。
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長月シキカ(プロフ) - あるたそさん» コメントありがとうございます! アパートの名前は自分でも結構気に入っていたので面白く思っていただけてとても嬉しいです＾＾この話は完結していますので最後まで読んでいただければ幸いです! 閲覧感謝です＾＾ (2017年11月13日 21時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
あるたそ - ふるそうwwwww面白いです！もう続編あるんだろうけど更新頑張って下さい！ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d50254bc2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年10月1日 23時
