４１無個性 ページ41
相手の"個性"を"消す"個性――"抹消"を持つ相澤先輩が緑谷君の個性を消したからあの記録なのか。
そう一人納得していると、相澤先輩が口を開いた。
「つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前みたいな奴も入学できてしまう」
「個性を、消した? ハッ、あのゴーグル……そうか!」
個性を使った事で髪の毛と捕縛布が浮かび、その中に隠れていた相澤先輩のゴーグルを見て緑谷君は先輩が抹消ヒーロー"イレイザーヘッド"だと理解したらしい。
先輩のヒーローネームを知っているのは生徒の中でもごく僅かのようで、ほとんどの子達は知らないとこぼす。
それもそのはず、相澤先輩は仕事に差し支えるといってほとんどメディアに出ない人なのだ。
実際、私もここで働き始めて初めて知ったぐらいだ。
緑谷君に近づいていく相澤先輩は何か話しているようだが、少し離れた場所にいる私達にはよく聞こえない。
「秋嶋さん、相澤先生は彼に何を?」
「……さぁ、自分にも分からないっス。あの人特に分かりずらい先生っスからね」
心配そうに聞いてくる飯田君にそう返し、私は先輩の背中を見つめる。
相澤先輩は一体何を彼に話しているんだ?
そう疑問に思っていると、話が終わったのか先輩は緑谷君のもとを離れた。
私の近くにやってきた先輩に私は思い切って聞いてみることにした。
「先輩、彼に何を言ったんスか?」
「……一人を救けて木偶の坊になる、そんな力じゃヒーローになれねぇって言った。これでも玉砕覚悟で全力を出すか、委縮して最下位に収まるか……ま、どっちに転んでも見込みはゼロだ」
ドライアイ用の目薬を点しながらそう言う相澤先輩の言葉を聞き、緑谷君の姿を目に映す。
青ざめた顔色で口を微かに動かしながらなにかを呟いている。
しかし彼の目は、まだﾀﾋんでいないように見えた。
「……私は、見込みゼロにするのははやいと思うッス」
「なに?」
「彼の目は、まだﾀﾋんでないっスよ」
「目だと……?」
そう言ったのと同時に、緑谷君は大きく振りかぶった。
それを見た相澤先輩はハァと息をつく。
「やはり、見込みゼロ……―――!?」
相澤先輩は何かに気付いたのか、一瞬だけ目を見開いた。
その刹那、ボールは空に向かいものすごいスピードで飛んでいった。
チラリと横目で相澤先輩の手にある端末を見ると、飛距離は爆豪君とほぼ同じ距離だった。
痛々しい色をし腫れた指を動かし拳を作った緑谷君は口を開く。
「先生、まだ――――動けます!!」
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長月シキカ(プロフ) - あるたそさん» コメントありがとうございます! アパートの名前は自分でも結構気に入っていたので面白く思っていただけてとても嬉しいです＾＾この話は完結していますので最後まで読んでいただければ幸いです! 閲覧感謝です＾＾ (2017年11月13日 21時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
あるたそ - ふるそうwwwww面白いです！もう続編あるんだろうけど更新頑張って下さい！ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d50254bc2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年10月1日 23時
