５無個性 ページ5
ハロワで申し込んだ日から数日が経った。
「履歴書も入れたし、ハンカチも入れたティッシュも入っているし携帯は勿論ある……これで忘れ物はないな」
数回しか着ていないスーツを着て鞄の中身を確認する私の耳に、掛け時計のボーンという音が響く。
その音を聞き、私は鞄のファスナーを閉じ玄関の扉を開け面接会場へと向かう。
雄英はこのアパートからさほど遠くもなく駆け足で向かえばものの数十分で着く所に位置している。
途中のコンビニで昼食を購入し、私は面接時間の十分前には到着した。
面接の緊張からか弾む心臓を数回の深呼吸で落ち着かせ、私は懐かしき母校へと足を踏み入れた。
事前に送られてきた通行許可IDのおかげで雄英のセキュリティに引っかかることなく校内へと足を進める事が出来た。
そして、指定された部屋の前に辿り着きノックする前に自分の腕につけていた時計を見る。
「あと五分か……時間ピッタリの方がいいか」
「やっぱり君なら時間より早く来ると思っていたよ」
自分がこぼした独り言に返ってきた声に私はすぐにその声の方を振り返るとそこには、学生時代から変わらない愛らしい容姿をした根津校長先生が立っていた。
私よりうんと低い校長の目線に合わせる為、膝をおり校長先生の目を見てにこやかな笑みを浮かべ口を開いた。
「お久しぶりです、校長先生。相変わらず素晴らしい毛並みでいらっしゃいますね」
「ふふ。秘訣はケラチンさ」
「流石です校長先生。それで時間が少々早いようですが面接していただけるっスか、じゃなくてますか?」
「勿論さ! あと、無理に話し方を変えなくてもいいよ。君の事は学生の頃から知ってるからね」
校長先生のありがたい言葉に、深く感謝しながら私は校長先生と共に面接をする部屋へと入室する。
面接を受ける者が座るパイプ椅子に腰かけるよう言われ、指示通り椅子に腰かける。
それから普通の面接の様に志望動機などを聞かれ、それに答えていくというのを数回くり返すと全ての質問が終わったのか校長先生はよしッと声をあげた。
「これで面接は終わりだよ」
「ありがとうございました」
「じゃあ、一週間後から早速働いてもらうからね」
「えっ? い、いくら何でも早すぎじゃないっスか?」
「そんな事はないさ。君の履歴書が届いた時から君の採用は決まっていたんだよ」
何でもないようにそう言う校長先生に私は思わずずっこけそうになった。
だったらこの数分の面接の意味は何だったんだよ。
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長月シキカ(プロフ) - あるたそさん» コメントありがとうございます! アパートの名前は自分でも結構気に入っていたので面白く思っていただけてとても嬉しいです＾＾この話は完結していますので最後まで読んでいただければ幸いです! 閲覧感謝です＾＾ (2017年11月13日 21時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
あるたそ - ふるそうwwwww面白いです！もう続編あるんだろうけど更新頑張って下さい！ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d50254bc2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年10月1日 23時
