４無個性 ページ4
アパートから数十分歩いたところに、ハロワはある。
慣れた足取りで入口をくぐると、顔見知りとなった職員さんが私に声をかけてきた。
「あら秋嶋さん、お久しぶりです」
「お久しぶりです、林葉さん。今お願いできるっスか?」
「えぇ勿論ですよ!」
晴れやかな笑顔で私をカウンターの方まで案内する彼女は林葉さんという。
"個性"は植物だそうで、ここの職員をしながら植林活動に尽力している素晴らしい人だ。
こんな個性共に素晴らしい人に彼氏がいない事が私は不思議でならない。
自分が男なら真っ先にアプローチをしていたと思う。
私がそんな事を思っていると、パソコンとにらめっこしていた林葉さんはふぅと息をつきながら口を開いた。
「それにしても、秋嶋さんは資格とか申し分ないのにお仕事が中々見つからないですね」
「そりゃあ、自分は"無個性"だからっスよ。どんな仕事でも"無個性"より個性のある人の方が優遇されるもんっス」
「あ……すみません」
彼女はやってしまったという表情を顔いっぱいに浮かべ、小さく謝罪の言葉を吐きだした。
そう、自分は何の個性も発現しなかった"無個性"なのだ。
だけど、"無個性"であることを私はあまり悲観していない。
だからこそ、私は満面の笑顔を浮かべ口を開いた。
「気にしないでくださいっス! 事実っスから」
「あ、失言、本当にすみませんでした……あ、これなんてどうですか?」
いたたまれなくなったのか林葉さんは、話を変えようとノートパソコンを私の方に向ける。
そのページに書かれた文字に私は、目を丸くした。
「"雄英高等学校の用務員募集"?」
「はい、数日前から募集が始まっているんですけどまだ申込者が一人もいないんです」
「まぁ、あの雄英っスからね」
「えぇ。ですが、秋嶋さんは雄英の卒業生ですよね」
「普通科っスけどね」
「秋嶋さんは教員免許も取得されていますし、どうです?」
用務員か……今までやった子のない職種だしやってみる価値はあるか。
それに久しぶりに母校に足を踏み入れるのも悪くない。
「林葉さん、そこ応募してもらっていいっスか?」
「かしこまりました! では少しお待ちくださいね」
そう言い彼女は電話を持って奥へと引っ込んでいった。
そんな彼女の背中を見送り、少し待つと電話を終えた彼女から面接OKの言葉が出た。
それから面接の日程などを聞いて、私はハロワを後にした。
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長月シキカ(プロフ) - あるたそさん» コメントありがとうございます! アパートの名前は自分でも結構気に入っていたので面白く思っていただけてとても嬉しいです＾＾この話は完結していますので最後まで読んでいただければ幸いです! 閲覧感謝です＾＾ (2017年11月13日 21時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
あるたそ - ふるそうwwwww面白いです！もう続編あるんだろうけど更新頑張って下さい！ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d50254bc2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年10月1日 23時
