１８無個性 ページ18
13号先輩に送ってもらった私は誰もいない部屋の電気をつける。
先程まで暗い中を歩いていた為、人工的な光が私の目を痛ませる。
「眩しっ」
思わず手の甲で目を押えるが、すぐに目が慣れ手を外し寝支度を整える為、部屋を移動する。
お風呂を沸かすのが面倒だから、今日はシャワーだけで済まそう。
そう決め、パパッと服を脱ぎ下着を洗濯機の中に入れて十分にセットして、私はひんやりとするバスルームへと入る。
真冬ほどではないが冷たいタイルに背筋を震わせながらシャワーのお湯を出す。
サァと流れ出るシャワーを頭から浴びながら、私は目を閉じて昔を思い返す。
「え、個性出なかったの?」
「うわぁ"無個性"の××とか、恥でしかないないんだけど」
「私と同じ話し方しないで。胸糞悪いから」
「ダッサ! こんなのも出来ないの?」
「本当、なんで生きてんの? "無個性"のクズのくせに」
「あーッ! イライラする!!」
「私に逆らうからこんなことになるのよ!」
嘲り、嫌悪、蔑みetc.
数多の侮蔑の言葉や高笑いが頭の中で繰り返される。
忘れられない、忘れる事の出来ない光景が脳内で繰り返される。
暗い、狭い、場所。
鼻につく鉄錆の匂い。
頬に滴る生暖かい雫。
目の前には、自分を見下ろす二つの目。
二つの目の下にある口が動いて―――。
ビ――――ッ!!
突然鳴り響いたブザー音に私は今まで沈んでいた思考の海から浮かび上がった。
私は急いでシャワーのお湯を止め、なり続けている洗濯機のブザー音を止める。
止めたところで、私は自分の息が荒くなっていることに気付いた。
バクバクと激しく脈打つ鼓動をどうにかしずめて、私はほぅと息を吐き出す。
「……寝よう」
きっと初日で疲れたんだ。
もう寝たほうがいい。
そう判断した私はびしゃびしゃにぬれた髪をタオルで擦る。
肩にかからない程度の長さの髪だから、タオルで擦ればすぐに乾くのだ。
ザッと髪を乾かした私はパジャマに着替え、洗った下着を部屋に干し電気を消してからベッドに横になり、目を閉じると相当疲れていたのかあっという間に眠気がやってくる。
"このことを誰かに言ったら、アンタの周りの奴から殺していく"
記憶の中のアイツの声が、いつまでも私の頭に響く。
私は、布団の中でうずくまり耳を塞いだ。
「分かっているよ」
そう呟き、私は眠りについた。
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長月シキカ(プロフ) - あるたそさん» コメントありがとうございます! アパートの名前は自分でも結構気に入っていたので面白く思っていただけてとても嬉しいです＾＾この話は完結していますので最後まで読んでいただければ幸いです! 閲覧感謝です＾＾ (2017年11月13日 21時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
あるたそ - ふるそうwwwww面白いです！もう続編あるんだろうけど更新頑張って下さい！ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d50254bc2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年10月1日 23時
