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58話 勝利の鍵 ページ8

射杜山たちは私達に気付くことなくスタスタと歩いて行った。
そんな奴の後ろ姿を見送りながら、組頭はハァとため息をつく。


「六年生も堕ちたもんだね」

「……多分、伊作君達は射杜山に操られていると思います」

「操られている?」

「彼らの目、前に見た時と全然違うんです。なんていうか、濁っているというか」

「ふーん……でも、六年生がこの状態なのに先生方がなにもしないってことは、先生方もあの娘の術にはまったと考えた方がいいだろうね」

「おそらくは……とりあえず乱太郎君を探さないと」

「だったら、医務室とかに行ってみる?」

「そうですね」


二人で次に向かう場所を決め、私と組頭は医務室へと向かう。
途中で、他のにんたまたちを見かけたが、全員顔に精気がなく口から出るのは天女様と呼んでいる射杜山の小娘の事ばかりだった。


「酷いありさまだね」

「……はやく射杜山をどうにかしないと、急ぎましょう組頭」

「あぁ」


私は走るスピードを速め医務室へと急ぐ。
ようやっと着いた医務室の障子を開けようと手をかけると中から鼻をすするような音が聞こえてきた。


中に誰かいるのを悟った組頭が懐に手を入れすぐに攻撃できる態勢を取る。
私はそんな組頭と目を合わせ、ゆっくりと障子をスライドさせる。


医務室の中にいたのは、井桁模様の忍び装束を身に纏った小さな男の子が泣いていた。
その男の子は私達の存在に気付いたのか、バッと勢いよく振り向く。


「た、タソガレドキ城のちょっとこなもんさんにAさん……?」

「惜しいね。城の名前はあってるけど、私の名前は雑渡昆奈門だ」

「久しぶりだね。乱太郎君」


見知った顔で安心したのか、乱太郎君は大粒の涙をボロボロとこぼしながら私の胸に飛び込んできた。
私は泣きじゃくる乱太郎君の頭を撫でながら、「よく頑張ったね」とねぎらいの言葉をかける。


「乱太郎君、ゆっくりでいいから忍術学園で何が起こったのか話してくれる?」

「は、はぃ……」


乱太郎君は涙をぬぐい鼻をかんでから、この学園で起こった事を全て話してくれた。
彼の話をまとめると、突然空から射杜山が降ってきて一応学園で保護することになったが一日、また一日過ぎるごとに、先生や先輩それに同級生の様子がおかしくなっていったというのだ。


これで、この異変の現況が射杜山であることは分かったし、乱太郎君もこちら側に引き入れる事が出来た。
後は射杜山と、射杜山に憑いている悪魔をどうにかすればいい。

59話 期限間近→←57話 むせかえる香り



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長月シキカ(プロフ) - riemoa0323さん» コメントありがとうございます! こちらこそ多数の作品がある中当作品を閲覧くださり感謝申し上げます!! riemoa0323様のお言葉本当に嬉しいです^^最後まで閲覧感謝です♪ (11月14日 22時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
riemoa0323(プロフ) - コメント失礼致します、とっっっても面白かったです!このような作品はあまり見かけないので出会えたことにとても感謝しています、素敵な作品をありがとうございました! (11月14日 0時) (レス) @page22 id: a94f27965a (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 夕さん» コメントありがとうございます! 主人公と組頭が再会するエンドにするか別エンドにするか最後まで迷っていていたので、夕様のお言葉大変嬉しく思います^^最後まで閲覧感謝です♪ (10月10日 14時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白かったです!最後に組頭と夢主が再会できた時はとても嬉しかったです! (10月10日 0時) (レス) @page22 id: 50676421a4 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 確かにこのようなタイプの話はここではあまり見ないですよね...。最初この話が思い浮かんだときは他人に受けるものか心配でしたが小桜様のお言葉に安心しました^^ こちらこそ最後まで閲覧感謝です♪ (2022年9月28日 21時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年8月1日 0時

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