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67話 告白 ページ17

しばらく私を黙ったまま抱きしめ続ける組頭に、私はされるがままでジッと彼が口を開くのを待つ。
そして、ようやく彼は重い口を開いた。


「……行かないでくれ」

「え?」

「私の傍に、いてくれないか」


そう言い、私を抱きしめる力を強めた。
苦しいぐらいに抱きしめられるその力に、彼は本気で私に行かないで欲しいと思ってくれているんだと悟った。


しかし、彼のその願いを叶える事は出来ない。
それを理解している私は、静かに口を開いた。


「組頭、お気持ちは本当に嬉しいです……ですが、それは出来ないんです」

「……」

「私は、三日を過ぎれば強制的に地獄に落とされてしまうんです。だから、結局長くは一緒にいられないんです」

「……だったら」

「自ら命を絶っては駄目ですよ」


組頭が言葉を言い切る前に私がそう念を押すと、組頭は黙ってしまった。
なんとなくでしか思っていなかったことだが、本当にしようとしていたのかこの人は。


「いいですか組頭。自ら命を絶つことは相当重い罪なんですよ。私は貴方にそんな罪を背負って欲しくありません」


私がそう言うが、組頭は何も答えてくれず私の方に顔を押し付けるだけだった。
そんな態度をされると、勘違いしてしまいそうになってしまう。


私は彼の事は好きだが、彼が私と同じ想いを持ってくれているとは限らない。
変な期待を持つのやめておこう。


そう思い私は次の言葉を発しようとしたが、それよりも前に組頭が口を開いた。


「好いているよ」

「……へ?」

「私は、君を好いている」


突然の告白に私は、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。


え、嘘でしょ。
組頭が私なんかを、す、す、好き、だなんて……。
でも、組頭はこんな事を冗談で言うような人ではない。
だとしたら、さっきの言葉は組頭の本心……?


「……何か言ってくれないと、流石の私でも傷つくんだけど」

「あ、す、すみません! え、えと……私も、好きです……貴方の事が、好き」


そう小さく呟いた言葉は組頭の耳に確かに届いていたようで、私を抱きしめる力がさらに強くなる。
それに負けないように、私も組頭の広い背中に腕を回した。


「……この想いは墓まで持って行くつもりだったんだけどね」

「私もですよ……でも嬉しいです、組頭も私と同じ想いだと知れて」

「それは、私もだよ」


そう言い私の頭を愛おし気に撫でる組頭のその優しさに、私は思わず涙が零れそうになるがそれをなんとか堪え言葉を続ける。

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長月シキカ(プロフ) - riemoa0323さん» コメントありがとうございます! こちらこそ多数の作品がある中当作品を閲覧くださり感謝申し上げます!! riemoa0323様のお言葉本当に嬉しいです^^最後まで閲覧感謝です♪ (11月14日 22時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
riemoa0323(プロフ) - コメント失礼致します、とっっっても面白かったです!このような作品はあまり見かけないので出会えたことにとても感謝しています、素敵な作品をありがとうございました! (11月14日 0時) (レス) @page22 id: a94f27965a (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 夕さん» コメントありがとうございます! 主人公と組頭が再会するエンドにするか別エンドにするか最後まで迷っていていたので、夕様のお言葉大変嬉しく思います^^最後まで閲覧感謝です♪ (10月10日 14時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白かったです!最後に組頭と夢主が再会できた時はとても嬉しかったです! (10月10日 0時) (レス) @page22 id: 50676421a4 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 確かにこのようなタイプの話はここではあまり見ないですよね...。最初この話が思い浮かんだときは他人に受けるものか心配でしたが小桜様のお言葉に安心しました^^ こちらこそ最後まで閲覧感謝です♪ (2022年9月28日 21時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年8月1日 0時

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