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65話 悪夢から目覚める ページ15

乱太郎君は何故自分が呼ばれているのか分からないようで、首を捻りながらも私のもとへと来てくれた。
そんな彼に、私は目線を合わせながら彼に最後の役目を託す。


「君には、あいつを拒絶してほしいんだ」

「拒絶、ですか?」

「そう。何でもいいから拒絶の言葉をかけてやって欲しい。そうすれば、射杜山はここからいなくなるから」

「! ……分かりました」


私の言葉を理解した乱太郎君は私から離れ射杜山に一歩近づいた。
射杜山は、乱太郎君に助けてと乞うような眼で見るが、それに答えることなく乱太郎君は言葉を紡ぎだした。


「……私達の学園から出て行ってください!!」

「へ、あ、あぁ!? な、なんでなんで身体が!? おねがい、たすけ」


乱太郎君が言葉を吐き出し終わると、射杜山の体が徐々に透けていき最期の言葉を言い終わる前にあっという間に消えてしまい、その場所には何も残らなかった。


「こ、これでいいんですか?」

「うん。これで射杜山は地獄へ戻っていった。もう二度とここにやって来ることはないよ」


そう言いながら、乱太郎君の頭を優しく撫でる。
そうしていると、周りで訳が分からないとでも言いたげな表情を浮かべ黒い忍び装束を身に纏った若い男の人が私に話かけてきた。


「あ、あの〜……よく状況がのみ込めないんですが」

「……悪夢が、終わっただけです。皆さんは悪夢から目を覚ましただけ、それだけです」


私がそう言うが、目の前の男の人はまだ理解できないようで首を傾げる。
これ以上話してもただ混乱させるだけだと判断した私は、曖昧な笑みをこぼすだけに留め彼に背を向ける。


このままここにいても仕方ないので、私は組頭たちと共にタソガレドキへと戻ろうとした。
その時、ふとあることを思い出し私は乱太郎君のもとへと駆け寄った。


「乱太郎君、渡したお守りを返してもらっていいかな?」

「え、あ、はい」

「ありがとう。もうこれは君には必要のないものだからお地蔵様に返してくるよ」

「……分かりました。あの、Aさん、それにタソガレドキの皆さん、ありがとうございました!」

「! どういたしまして……さようなら」


乱太郎君から受け取ったお守りを巾着に戻しながら、そう言い今度こそ忍術学園を離れた。


これで、私のこの世界の役割は終わった。
あとは……三日までに地獄へ戻るだけだ。


そう思う事によって湧き上がった、寂しさを抑え込みながら私は抱えてくれている組頭の首に腕を回した。

66話 お別れ→←64話 悪魔消滅



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長月シキカ(プロフ) - riemoa0323さん» コメントありがとうございます! こちらこそ多数の作品がある中当作品を閲覧くださり感謝申し上げます!! riemoa0323様のお言葉本当に嬉しいです^^最後まで閲覧感謝です♪ (11月14日 22時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
riemoa0323(プロフ) - コメント失礼致します、とっっっても面白かったです!このような作品はあまり見かけないので出会えたことにとても感謝しています、素敵な作品をありがとうございました! (11月14日 0時) (レス) @page22 id: a94f27965a (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 夕さん» コメントありがとうございます! 主人公と組頭が再会するエンドにするか別エンドにするか最後まで迷っていていたので、夕様のお言葉大変嬉しく思います^^最後まで閲覧感謝です♪ (10月10日 14時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白かったです!最後に組頭と夢主が再会できた時はとても嬉しかったです! (10月10日 0時) (レス) @page22 id: 50676421a4 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 確かにこのようなタイプの話はここではあまり見ないですよね...。最初この話が思い浮かんだときは他人に受けるものか心配でしたが小桜様のお言葉に安心しました^^ こちらこそ最後まで閲覧感謝です♪ (2022年9月28日 21時) (レス) id: 594c035cea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年8月1日 0時

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