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47話 百面相 ページ47

忍術学園で行われた文化祭から数週間がたった。
あれから、私は組頭についてちょくちょく忍術学園に行くようになっていた。


そして、今日も組頭の命で彼と共に忍術学園へとやってきている。
組頭は特に保健委員会の子達と仲が良いらしく、過去にも手土産の団子やお饅頭を持ってちょくちょく忍術学園に侵入していたらしい。
これは、尊奈門先輩から教えてもらった事実である。


「Aさん。また寝てないみたいですね?」

「いや、寝てますよ……四半時くらい」

「それは寝た内に入りません……女の人が文次郎みたいな隈作っちゃ駄目ですよ」


ゴリゴリと薬草を擦り調合する伊作君にそう言われ、私は小さく「すみません」と呟くしか出来なかった。
ちなみに、彼の言った文次郎君とはこの学園の生徒の一人で、私と同じくらいに濃い隈を目の下にこしらえている男の子だ。


彼とは実際に会ったことがあるが、あれは確かに酷い隈だった。
あれだったら私の方がまだ薄いと思うが、伊作君から見たらどっちもどっちらしい。


「よし出来た。どうぞ雑渡さん」

「ありがとう伊作君」

「いえいえ、こちらこそ薬草をこんなに持ってきていただいて……本当によろしいんですか?」

「うん。任務の途中で見つけただけだからね」


そう言って出されたお茶を太いストローのようなもので飲む組頭に私はツッコミたい気持ちをグッと抑え込んだ。
組頭のいう事に嘘はない。
嘘はないが……本当のところは忍者隊の人たちに任務先で薬草を見つけた者に特別賞与、つまりボーナスを与えると言って探させたのだ。


どの時代でもボーナスという名のエサをチラつかせられれば、嫌でも動かざるを得ないものなんだなぁ。
ちなみに私は薬草の事などに関しては無知な為、その命令は下されていない。


組頭の考えはあっていると思う。
だって、今森の中に放り込まれたら確実に迷子になる自信が私にはあるのだから。
他の忍者隊の人たちには悪いが、本当に助かった。


「Aちゃん。なに百面相してるんだい?」

「へっ?」


自分ではずっと同じ顔をしていたつもりだった為、組頭の言葉に驚き素っ頓狂な声が出てしまった。
ハッとして周りを見ると、保健委員会の子供たちが笑いをこらえているのが目に入る。
それを見て、あぁ組頭の言葉は本当らしい、と自覚することが出来た。


正直言うと、自覚したくなかった。

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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます!主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年7月21日 0時

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