46話 帰宅 ページ46
驚き、そして嘆く伊作君と変な団子の食べ方をする組頭に起きた出来事を全て報告すると伏木蔵君は小さく「凄いスリル〜」と言葉をもらす。
ちなみに私がドクササコ忍者に人質にとられた事は、なぜか尊奈門先輩たちの口からは語られなかった為、私も口に出すことはなかった。
結局、伊作君が自分の後輩が無事なら模擬店は別にいい、という事になった為私達にお咎めはなかった。
それから、迷路の模擬店がある場所の方から数人が吹っ飛んでいくのを最後に文化祭は終了を迎え
私達は結局、今日忍術学園の生徒さんの模擬店を手伝いをしただけで一日が終わってしまった。
私はこの世界の主人公格の人間――乱太郎君と接触しお守りを渡すことが出来たから収穫はあったものの、尊奈門先輩や高坂先輩はただただ手伝いをしただけだ。
自分がその立場だったら、上司に直談判する気にはなる。
やるかやらないかと言われたら、やらない方が確率が高いがな。
まぁ、二人を見る限り不満はなさそうだから他人である私がやーやー言うつもりはない。
二人がそれでいいならそれでいいのだ。
文化祭も終わったことで、私達はタソガレドキ城へと戻ることになった。
勿論、私は組頭に抱えられて、だ。
行きもそうだったが、男の人に抱えられるのは流石の私でも、物凄く恥ずかしい。
だが、組頭たちのペースに一般人である私が追い付けるはずもないし、ましてや地図も無しに一人でタソガレドキ城に帰ることもできない私に、選択肢や拒否権なんてあるわけがなかった。
城につき地面に下ろされた私は若干気分が悪くなってしまっていた。
例えていうなら、ジェットコースターに数回連続で乗ったような変な浮遊感が私の体を襲っている。
組頭たちとはタソガレドキ城の敷地内で解散となり、すぐさま自室へと戻った私はバタリと床に倒れ込んだ。
半日誰も入ることのなかった部屋の床はひんやりと冷たく、先程の恥ずかしさからくる頬の熱さをちょうどよく冷ましてくれる。
ほぅと息をつきながら私は、今日の事を思い返した。
これでこの世界でやるべきことの一つはすんだ。
あとはあの小娘と小娘に憑いた悪魔を消滅させれば、全てが終わる。
全てが終われば、私は……。
「……少しだけ、寝よう」
私は自分の心に思い浮かんだことを忘れようと、冷たい床に頬をつけ目を閉じる。
この世界にいたい……。
こんな事を私は思ってはいけないのだ。
だって私は、もう既にタヒんでいるんだから。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます!主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年7月21日 0時