４２話 優しい子供 ページ42
「お地蔵様から預かったのは、君の分だけなんだ。ごめんね」
「そ、そうですか……」
「ちょっといいですか?」
今まで黙っていた背の高い少年が私に話しかける。
見たところ私よりも年は下だろう。
それより、この少年の髪質がすげぇ気になる。
てか、まんまうどんやん。
「先程からお地蔵様とかわけの分からないことを言っていますが、後輩に変な事吹き込まないでくれません? 光るお守りとか怪しいの一言ですよ」
「……まぁ、そうでしょうね。ですが、お守り自体は全く害のないものですし、彼に持ってもらうべき物です。乱太郎君はこれから起こりうる出来事に欠かせない子なんです」
「これから起こりうる出来事?」
「えぇ。あぁ、この文化祭ではないので安心して下さい」
「安心って……」
「これ以上は混乱させてしまうので言いません。私を信じろとは言いませんが、乱太郎君にお守りを持たせる事だけは許しては貰えないでしょうか」
「だ、だが……」
「私、持ってます。このお守り」
「乱太郎?」
私が渡したお守りをギュッと握りしめそう言う乱太郎君に、今まで私に疑いの目を向けていた少年が乱太郎君のほうに目を向ける。
「だ丈夫ですよ、尾浜先輩」
「大丈夫って、乱太郎……」
「このお守りを持ってると、なんだかすごく暖かくて安心するんです。だから、きっと悪い物じゃないと思うんです」
「……まぁ乱太郎がいいなら」
「ありがとう。乱太郎君」
私を庇うようなことを言ってくれた乱太郎君に感謝の気持ちを言葉に乗せながら、頭を優しく撫でてやると、乱太郎君は擽ったそうに目を細めた。
この子は心の優しい子供だなぁ。
そう心の中で思いながら、彼の頭を撫でていると、痺れを切らしたのか組頭が口を開いた。
「話はすんだかい?」
「あ、はい組頭。山本さんや高坂先輩、尊奈門先輩もお待たせして申し訳ありません」
背を向けていた組頭たちに向き直り、深く頭を下げる。
そんな私を咎めることなく、組頭は「では参ろう」と私に背を向け歩き始めた。
その後ろを山本さん高坂先輩、それに尊奈門先輩が続き私は尊奈門先輩の一歩後ろを着いて歩いた。
勿論、乱太郎君達にも軽く頭を下げるのを忘れてはいない。
それから尊奈門先輩や高坂先輩が先ほどのお守りはなんだと問うてくるが、それを曖昧に濁しながら歩いていると、組頭からこの学園の地図を渡された。
地図と言っても、どこになんの模擬店があるかが書かれた簡素な地図だった。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
