３８話 夢の中 ページ38
「組頭、慌ててないように見えますが……」
「そりゃあ慌ててないからね。実はある子からもう一通貰ってるから人数的にはなにも問題はないよ」
「……用意がいいなぁ、おい」
組頭のちゃっかりさに思わず本音が口からこぼれるが、組頭はこんなことでは気にしない事を私は知っている。
思った通り気にしていないのか、組頭は何でもないように言葉を続ける。
「というわけで、明日忍術学園まで行くからそのつもりで」
「はぁ……」
「……なんだかあまり乗り気じゃなさそうだね」
「そりゃあ、これでも一応居候の身ですし……それなら仕事してる方が……ねぇ」
同意を求めようと視線を合わせるが、組頭からの同意は貰えず、それどころか、何言ってんだコイツとでも言いたげな目まで向けられてしまった。
「言っておくけど、忍術学園には前に言っていた"乱太郎"君がいる場所だよ」
「ぜひ、お供させていただきます」
すぐさまその場に深々と土下座しそう言った。
そうだ、私の目的はここで社畜をするのではなく、この世界の主人公格の人間と接触しお守りを渡さなければならないのだ。
最終的には射杜山の小娘を地獄に叩き落として、この世界を救わなければならないのだ。
仕事に夢中ですっかり忘れていた事は黙っておこう。
「じゃあ、そういう事で。また明日迎えに来るよ」
「分かりました。お手数をおかけします」
「別に構わないよ。あと、服は忍び装束でいいから。じゃあね」
言いたい事を言って組頭は私の部屋から出て行った。
部屋に残された私は、明日に備えて残った仕事を片付け始める。
全ての仕事を終え、一日が終わった私はいつもより早めに就寝するため布団の中に潜り込んでいる。
慢性的に睡眠不足である私は特に時間をかけることなく、夢の中へと入っていった。
ふと目を開けると、私は真っ白い空間に漂っていた。
ふよふよと心地よい浮遊感で、私はこの空間は自分夢の中だと理解する。
しばらく心地よい浮遊感を楽しんでいたが、どこからか聞いたことのある声が私の耳に届いた。
この声は、閻魔様か?
"聞こえるか"
「聞こえるよ、閻魔様」
"そうか。さて秋津よ、お主は明日主人公格に会いに行くようじゃな"
「一応その予定ですがその人が本当に主人公格か、私には判断がつきません」
"そうじゃろう。だからお主の守りに一つ細工をしてやろう"
「細工?」
閻魔様がいう細工とは一体何なのだろうか。
私はその疑問を胸に抱きながら次の言葉を待った。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
