３７話 突然の申し出 ページ37
それからまた数週間がたち、私はいつものように高く積まれた書類と葛藤していた。
生前の様に無茶な仕事ではないので、今のところ徹夜は免れている。
単調な作業を繰り返し、書類の全体の三分の二まで終わらせ後少しで終わるという所で自室の障子がノックもなしにスーっと開く。
「やっぱりいた」
「いたら悪いですか?」
「機嫌悪いねぇ」
「悪くはないですけど、女性の部屋の障子を開けるときは一声かけてくださいと言ってますよね」
「あぁ、そうだったね」
「それで、何かご用ですか? 書類の追加ですか? 雑用の追加ですか?」
「それ全部、仕事関係だよ」
呆れた目をしながら組頭はハァとため息をもらす。
そんな彼に私は「冗談ですよ」と言うが、更に呆れた目をされるだけだった。
「それで、本当になんのご用ですか?」
「あぁ。明日忍術学園の文化祭があるんだよ」
「はぁ、そうですか。お気をつけて」
組頭のプライベートな事を話された私はペコッと頭を下げそう言うと、組頭は何言ってんだとでも言いたげな、いや実際に口に出して言った。
「君も行くんだよ」
「へぇ、そうですか……えぇ! なんでっ!?」
彼の突然の物言いに思わず声が大きくなる私に気にすることなく、組頭は言葉を続ける。
「実は忍術学園と忍術学園のある子から私とうちの殿に向けて招待状を貰ってね」
「組頭とお殿様に? 組頭はご自身ですからいいとして、お殿様の招待状を勝手に使用するのはいかがなものかと」
「勝手じゃないよ。うちの殿は評判が悪くてね。人ごみになんて行くと命を狙われるからね」
「……評判悪いんですか、ここのお殿様」
「まぁね。それでうちの殿も君の外出の許可を出されているから、君も行くよ」
「はぁ……ちょっとその招待状を拝見させていただいても?」
「いいよ」
そう言い組頭は懐から一通の手紙のようなものを取り出し、私に手渡してくれた。
その手紙を広げ中を見ると、中身は確かに文化祭に招待することが書かれていたが、最後の方に気になる文が書かれているのに気付く。
「組頭、私の他にどなたと文化祭に行かれるご予定なんですか?」
「ん? 山本に陣内、あと尊奈門だね」
「でしたら私行けないですよ。ここに、"一枚の招待状につき二人まで"って書いてありますから私が入ったら人数オーバーです」
そう伝えるが、組頭はそんなに慌てる様子を見せない。
彼のその様子に私は首をかしげるしかなかった。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
