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33話 そうなりたいと願った覚えはない ページ33

神様、仏様、閻魔様。
忍者隊の人達と仲良くだなんてたいそうな事は願いません、どうか、時が来るまで平穏で過ごせますように。


私は確かにそう願った。
あぁ願いましたとも。


そう願いはしたが……。


「おーいAー! これ追加な」

「あ、これもなー」

「……そこ、置いておいてください」


自室に高く積まれていく紙束を見て、私はつきたくなるため息をゴクンと飲みこむ。
部屋から書類を持ってきた忍者隊の人たちがいなくなり、私一人だけになった。


「……誰も社畜に戻りたいだなんて願ってないんだけどなぁ」


そう、私はそんな事を願った事はないはずだ。
それなのに、何故こんな事をしているのだろう。


確かきっかけは……そうだ、あの時だ。


雑用にも慣れてきた頃、尊奈門先輩が何やら唸っていたから聞いてみると、忍者隊の資金の事で悩んでいた。
計算には多少自信のあった私はいつもの損な性格を発動させてしまい、尊奈門先輩が頭を抱えていた書類の計算をあっという間に終わらせてしまったのだ。


その出来事があってから、私のもとに大量の計算系の書類が舞い込んできたのだ。
多分、尊奈門先輩の一件でただの居候から都合のいい計算機にランクが上がったのだろう。


私が社畜になったのは、おそらく、いや絶対あれがきっかけだ。


「まぁ、社畜になったおかげで忍者隊の人から名前で呼ばれるぐらいには仲良くなれた、のか?」


それにしても、ここで生活し始めてまだ一ヶ月しかたってないのに、ここまで変わる忍者隊の人達もすげぇよな。
そう思いながら、私は増えた書類に手を付ける。


「にしても、なんでこんな書類が私にバンバンバンバンやってくんのかねぇ」

「それはAちゃんの仕事が早く丁寧だからだよ」

「……組頭」

「やぁ」


いつの間にか私の横に姿を現した組頭に驚く余裕もなく、彼の方をチラリと見るだけに留めた。
私のそんな態度を気にすることなく組頭は言葉を続ける。


「君の仕事の早さは私も評価しているよ。早く丁寧、そしてほとんど間違いがない。だからこそ皆君に甘えているんだ」

「それは、ありがたいお言葉です」

「だけど……君、何日寝てない?」


組頭の言葉に私はギクリと肩を震わせる。
このまま黙っていようかと思ったが、組頭の射るような目線がグサグサと刺さる為、仕方なく口を開いた。


「えっと……四日、程ですかね?」


指折り数えながらそう言うと、組頭はハァと大きなため息をついた。

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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます!主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年7月21日 0時

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