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31話 根はやさしい人なのかも ページ31

「組頭から燭台と火種を持って行くようにと」

「燭台……それは助かります。ありがとうございます、高坂先輩」

「……言っておくが、私はお前の事を信用していないからな」


私に燭台を手渡しながらそう言う彼に、私は苦笑を一つこぼして燭台を受け取り、口を開く。


「それは結構。私も先輩の事はまだ信用しておりませんので……ですが、私は先輩や他の方々に危害を加える気は一切ありません。この言葉に嘘偽りはございませんよ」

「どうだかな」

「まぁ私は貴方がたと必要以上に関わる気もないので、どうぞ私の事は空気かなにかだと思っていただけて構いませんよ。ですから、高坂先輩もどうか私に攻撃だけはしないでいただきたいのです」


お願いしますと頭を下げ顔を上げると、高坂先輩は意外そうな顔をして私を見ていた。
暗闇に目が慣れると、月明かりでも良く見えるものなんだな。


「……妙な真似をしたらその時は、容赦はせんからな」

「! ……肝に銘じておきます」


高坂先輩のこの言葉で、私は少しだけ安心した。
彼がそう言うという事は、私が妙なことをしない限り手は出して来ないと判断していいだろう。


「そうだ。これも渡しておく」

「これは……筒?」

「その筒の中に火種が入っている。それで蝋燭に火をつければ明かりになる」

「なるほど。ん? でも明日からはどうすれば?」

「あぁ、それは」


私が問うた質問に丁寧に教えてくれる高坂先輩に、心の中で少し驚いた。
あれだけ疑っている人間の質問にこんなに丁寧に教えれくれるなんて、もしかしたらこの人、根は優しい人なのかもしれない。
……忍者って分からないものだな。


「というわけだ。分かったか?」

「はい、丁寧な説明でしたのでよく分かりました。ありがとうございます」


感謝をこめた笑みでそう言うと、高坂先輩はお礼を言われ慣れていないのか少し上ずったような声で返事をする。
彼は気恥ずかしさから逃れる為か話題を逸らした。


「そ、そういえば……お前風呂がまだだろ」

「あぁ……そうですね」

「もう忍者隊の奴らは全員入浴はすんでいる。入るなら今の内だ」

「え、いいんですか?」


彼の申し出はとても嬉しいものだ。
今日は暑かったから温かいお風呂に入れるのならこんなに幸せなことは無い。


「あぁ。だが、もう火は消えているから入るのなら早い方がいい」

「ありがとございます」


それから彼はお風呂の場所まで教えてくれたので、私は迷うわずお風呂場に向かう事が出来た。

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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます!主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年7月21日 0時

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