２１話 話をしよう ページ21
尊奈門先輩の案内で組頭がいるという部屋の前まで案内してもらった。
「じゃあ私はこれで」
「はい、ありがとうございました」
私を部屋の前に残し、尊奈門先輩は去っていく。
その後ろ姿を見送り私は意を決して障子をノックした。
「誰?」
「秋津です、組頭」
「あぁAちゃんか。入りなよ」
「失礼します」
障子の向こう側から入室許可の言葉を聞き、私はゆっくりと障子を開ける。
そこには文机に頬杖をついたままこちらを見る組頭の姿があった。
「どうかした?」
「尊奈門先輩が指示された仕事が終わりその後やることがなくなってしまったので尊奈門先輩にお聞きしたら、組頭に相談したらと助言をいただきまして」
「ふ〜ん、そう。そう言われても私も今君に任せる様な仕事はないだよね」
「そうですか」
組頭までそう言われて、私は内心困ってしまった。
しゃーない。庭の隅で草むしりでもしてよう。
そう思い部屋を出るため腰をあげかけた私に、組頭が声をかけてきた。
「そんなに暇なら私と少し話すかい?」
「話ですか? 私は仕事がしたいんですけど」
「話すのだって立派な仕事だよ……それに君や君が欲しい情報の事も詳しく知りたいしね」
「あぁ……なるほど」
確かに自分の事も詳しい情報の事も言ってなかったっけ。
彼の言う事も一理あると思い、私はあげかけていた腰をもう一度おろした。
「では、なにからお話ししましょうか」
「じゃあ君のﾀﾋ因は?」
「……いきなりディープなこと聞きますね」
「でも一番大事なことだよ。君が自分のﾀﾋ因を話せるか否かで、君が嘘をついているかどうかの判断材料になる」
「まぁ、そうですね……」
組頭の言葉に納得しながら、私は自分の最期を思い出しながら口を開く。
「私のﾀﾋ因は、刺殺です」
「刺殺、ねぇ」
「はい。まず最初に背中を刺され、痛みで動かない私を射杜山は仰向けにして私の両二の腕を刃物で一本ずつ刺しました。あまりの痛みに叫ぼうとした私に構わずあの小娘はここに刃物を突きたてました」
あの時の情景を思い出し体が震え出す。
その震えを抑えながら、私は鎖骨と鎖骨の間をさする。
さするその手の下には傷はないが、あの時の痛みは今も鮮明に思い出せる。
「その後小娘は私のへその辺りと体の丁度真ん中辺りに刃物を突きたてられたところで私の意識は途絶えました」
こうして言葉にすると、めっちゃ凄惨だな。
私のﾀﾋに様。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
