３話 三途の川 ページ3
確か、この三途の川では"奪衣婆(だつえば)"という老婆の鬼が六文銭を持っていない亡者の衣服を剥ぎ取るんだっけ。
そう言えば、私が殺されたあと私のﾀﾋ体はどうなったんだろう。
物凄く無残に殺されたから両親も見るの辛いだろうなぁ。
もしかしたら、まだ私のﾀﾋ体はあの小娘――もとい女子高生の家に放置されているのだろうか。
確か、六文銭って火葬の時に棺に入れるんじゃなかったっけ?
だとしたら私、ヤバくね。
「ほら嬢ちゃん! 次はアンタの番だよ」
「あ、スンマセン」
ボーっと頭の中で考え事をしていたせいか、あんなに距離があった列は短くなり私の番になっていた。
てか私、地獄に来てから地獄の人に向かって「あ、スンマセン」しか言ってなくね。
「ほらほら後がつっかえてんだよ! 早く六文銭をお出し!」
「あー……六文銭ねぇ」
「なんだい? まさか六文銭を持ってないんじゃないだろうね?」
奪衣婆の言葉に私はビクリと肩を震わせるが、ここで渋っても後の人の迷惑になるだけかと思い、
素直に「はい」と口に仕掛けた時頭の上に何かがチャリンチャリンと落ちてきた。
私はたいして痛くもない頭をさすりながら、落ちてきた何かを拾い上げる。
「これは……小銭か? それも昔の」
「なんだい今頃火葬されたのかい。はい確かに六文銭受け取ったよ。さっさとあの船に乗りな」
「は、はぁ……失礼します」
手にした六文銭を渡すと、奪衣婆は少し先に浮かんでいる小船を指さした。
その言葉に従い、私は奪衣婆に一礼して小船へと向かった。
私が船に乗るとちょうど満席になったのか小船はゆっくりと三途の川を渡り始めた。
ふと三途の川の水面を覗くと、目の下に濃い隈をこさえやつれた自分の顔が水面に映る。
そう言えば、殺されたあの日七徹目だっけ。
ﾀﾋぬとすっぴんになるのか、今の顔に化粧はされていない。
だからこそ、自分の目の下の隈が濃く見えとてもじゃないが整った顔ではない。
いや、生まれた時からあまり容姿がいいとは言い難いか。
しかし、こんな顔で閻魔様にお会いするのかぁ。
どっかに化粧品とか落ちてないかな、いや地獄じゃ無理か。
私は深く大きなため息をついて、水面から顔を離した。
意外と川幅が広い三途の川を渡りきり、小船に乗っていた私達はゾロゾロと次の場所へと向かう。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
