１５話 利害の一致 ページ15
私は下げていた頭をあげ、真剣な目をお殿様の目と合わせた。
「信じてもらわなくても結構。私自身、こんな話を最初から信じてもらおうだなんて思ってはいません」
「ほぅ」
「ですが、貴方がたはこの数か月後絶対に後悔しますよ。今この時の私の話を信じていれば、と」
「……なに?」
手の中で弄んでいた扇子をピタリととめ私の目を真っ直ぐに見つめる。
その目を逸らすことなく、言葉を続けた。
「射杜山がこの世界に降り立つのは既に決定されている未来。その射杜山がいる限りこの世界の崩壊は免れることは出来ません。世界が崩壊してしまえば、生きとし生けるもの全てがﾀﾋに絶えます。そうなればお殿様が天下を取ることも永遠に出来なくなりますよ」
「……」
私の言葉にお殿様は何か思うとこがあったのか扇子を顎に当て何か考えている様子を見せた。
これは、もしかしたらいけるかもしれない。
「私はﾀﾋんだって別にいいんです。既に一度命を奪われてますから、あの射杜山って奴にね。だから一度ﾀﾋのうが二度ﾀﾋのうが、私にはどーだっていい事なんです。ですが、お殿様がご協力してくださるのであれば……この世界を救う事をお約束しますよ」
「ふむ……確かに、わしが天下を取れぬのは口惜しいな……よし分かった。お主に協力するとしよう」
「あ、ありがとうございます!」
私はそう言いながら思いっきり頭を下げる。
ここで協力者を得られたのは大きな成果だ。
「だが勘違いするでないぞ。わしはお主を信じたわけではない」
「……でしょうね。私も今のところ貴方がたを信じてはいません。でもそれでいいじゃないですか。お互いに利害が一致してますし」
「そうだな。それで、わしらに何をさせる?」
「とりあえず、この世界の情報を下さい。その代わりここでの雑用とか何でも精一杯やりますんで」
「ふむ、いいだろう。昆奈門」
「はっ」
「お前がこの娘の世話をしろ。そしてこの娘が欲する情報を渡してやれ」
「……承知」
そう命令され、昆奈門と呼ばれた包帯野郎はスッとその場から立ち上がる。
そして、私にその片方しか出ていない目で見て「着いてこい」とでも言いたげに顎で指示を出した。
そんな彼に従い、私もその場に立ち上がる。
この時足がしびれているのに転ばなかった私を誰か褒めて欲しい。
私は彼について部屋を出る時、もう一度お殿様に向かっ謝辞の言葉と一礼をすると、お殿様はそっけない返事をしてすぐに私から視線をそらした。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
