１４話 信じられない話 ページ14
「閻魔様の審議中、地獄で働く鬼がある事件を持ち込みました。その事件とはある亡者が悪魔の自分の願いを叶えさせ別世界に渡航してしまったのです」
「……」
「その亡者の名は、射杜山杞玻」
「……お主を殺したという女子か」
「そうです。その女子は数か月後この世界に降り立ち世界を崩壊させてしまうんです」
私を姿勢を崩すことなく言葉を続ける。
目の前のお殿様と包帯野郎は私の言葉を遮ることは無く聞き続けた。
今の私にはそれがとてもありがたく思えた。
「世界の崩壊を止めるには、射杜山と射杜山に憑いている悪魔を消滅させる。ただ一つです」
「その方法とやらは?」
「射杜山はこの世界の中心人物から拒絶されれば、悪魔は鏡で反射させた太陽の光を当てれば消滅させることが出来ます……あれ? 鏡とお守りを入れた袋が」
「その袋ってこれの事かな?」
今まで黙っていた包帯野郎が自分の懐から袋を取り出し私の方に差し出す。
差し出された袋は確かに、閻魔様から受け取った袋そのものだった。
「それですが、何故?」
「君が寝ている時にちょっと検査させてもらったんだよ。この袋の中には確かに守り袋と鏡が入っていた。危険な物でもなさそうなので、彼女に返却してもよろしいですか? 殿」
「……いいだろう」
お殿様の言葉で、取られていた袋が私の下へと戻された。
これらがなかったらこの世界が救えなくなるところだった。
って、なんか私勇者っぽくない?
やっば、中二病が再発しそう……。
「話は以上か?」
「あ、あと一つ。実は射杜山杞玻がこの世界に降り立ったってから一週間しか時間がないんです。一週間がたってしまえば、この世界は終わりです。私はそんな危機を救うためにわざわざ地獄から舞い戻り、あの森の中に降り立ったというわけです……これが私の知っていること全てでございます」
全てを話し終えた私は深く頭を下げた。
そんな私の頭上にお殿様の大きなため息が降ってくる。
「なかなか面白い作り話だったが……そんな話、信じられるわけがなかろう」
そういうお殿様の言葉に私は意外にも納得できてしまった。
そりゃあそうだ。
こんな話を「あ、そうなんですか」と信じる方がその人の頭を疑うわ。
現に私だって絶対にそう思う自信がある。
だが今回は無様に足掻こうが信じてもらわなければ、いや最悪協力さえしてもらわなければならないのだ。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
