11話 寝てるのを起こすな ページ11
歩き疲れぷらす睡眠不足で眠っている私の耳に何かぼそぼそ聞こえてきた。
声質からして男だろうか。
んだよ、こっちとら七日ぶりの睡眠だぞ。
静かに寝させてくれよ。
そう心の中で思いつつ、重い瞼をゆっくりと持ち上げる。
ぼんやりとした頭と目で顔を上げると、そこには奇怪な服に身を包んだ二人の男が私を訝し気な目で見下ろしていた。
「あ゛ぁ?」
「……大丈夫かい?」
寝起きがすこぶる悪い私は開口一番に低い声でそう言い相手を睨みつけてしまったが、相手は気にしていないのか、私を気遣うような言葉をかけてきた。
「……あぁ、スンマセン……寝てるんで、静かにしてもらえないですか?」
「こんなとこで寝てたら危ないですよ。家は?」
「家、なんてない、ですよ……あぁもう眠、た」
流石に七徹ぷらす過度な運動には耐えられなかった再び大きな睡魔に襲われた私はずっしりと重い瞼をその重たい瞼を閉じた。
そこから、私の記憶はない。
****************
相当眠かったのか再び目を閉じ、寝息を立てる女の子を見て私は困ってしまった。
家がないって、家出かなにか。
それとも戦争孤児か。
数々の可能性を頭の中であげていくが、まず考えなかればいけない問題はこの子をどうするかだ。
「組頭、どうします?」
結局自分ではどうするか判断できず、私は組頭に判断を任せようと声をかけると、組頭は私の言葉に答える前に、目の前の女の子を抱きかかえ始めた。
「え!? 組頭なにを?」
「この娘を城に連れて行く」
「えぇ! な、なんで……?」
「この子の着物見てごらん。着物の合わせが逆だ」
「あ、本当だ」
組頭にそう言われ彼女の着物を見ると、確かに着物の合わせが逆だった。
着物の色も白いしこれじゃまるでタヒ装束だ。
「この着物の合わせが間違いだったらそれでいいし、何か理由があればそれはそれで聞きたいよね」
「で、ですが」
「まぁ殿や城になにかしでかそうとした時は容赦なく斬り捨てればいい話だし」
サラッと恐ろしい事を口にする組頭に、私は何も言えなくなりあれよあれよでその子を城まで連れて帰ってしまった。
組頭が連れて帰った女の子を見て城の中が少し、いや結構騒がしくなったが組頭が「拾った」というと何故か他の皆は納得するのだった。
うちの殿もあの子の滞在を許可したため、組頭はあいている部屋に布団を敷き彼女を寝かせた。
布団の中に横たわり静かな寝息をたてるこの女の子は一体何者なんだろうか。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます!主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年7月21日 0時