【RKRN×復活】うちの義兄は人間じゃない～大妖怪退治編～ (ページ23)

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２３標的　悪鬼王の正体の段ページ23

しばらく吹き続けた爆風がやみ、私は地上へと降り立つ。
留三郎兄さんの背中から降りた私を、兄さん達によって解放された沢田君達が迎えた。
ちなみに沢田君は超ﾀﾋぬ気化を解除しているようで、いつもの沢田君だった。

私に駆け寄った沢田君達は頭から血を流す私と、無傷の私を見比べ不思議そうな顔をする。

「ど、どっちが本物なんだ?」

「無傷の方が本物だよ。のっぺらぼう、もういいよ」

そう言うと、三郎兄さんはスッと顔を覆うと元の妖怪の姿に戻った。
勿論、血の一滴も流してはいない。

「一体、いつの間に……?」

「私が社殿の方に酒呑童子を吹き飛ばした直後だよ。天狐の瞬間的予知で、とっさにのっぺらぼうと入れ替わったんだ」

「そうなんだ……あ、それで! 酒呑童子って奴は? それに"悪鬼王"も」

「酒呑童子は気絶してる。悪鬼王は……」

"クソクソ! クソがぁ!!"

悪鬼王の事を言おうとした瞬間、後ろの方からたくさんの子供の男女の声が重なり合ったような声で悪態の言葉を吐き続けているのが聞こえてきた。
すぐに後ろを振り返ると、黒い煙のような小さなものがふよふよと漂っている。

"こんな餓鬼共に、今まで溜めた妖力を全て消されるなんて!!"

「この煙がまさか」

「そう。そのまさかだよ。今はこの姿を保つぐらいの妖力しかないけど、コレが"悪鬼王"だよ」

"悪鬼王などと大層な名を名乗ってはいるが、所詮は下級妖怪たちの成れの果てを寄せ集めただけの存在だ"

"黙れ! 人間なんかに媚びへつらう同族の恥さらしが!!"

"なんだと……?"

小さくなってしまった悪鬼王の言葉が、兄さん達の逆鱗に触れたのか悪鬼王を見下ろすように睨むと、悪鬼王はビクリと煙を揺らす。

「やめて皆。悪鬼王が歪んでしまったのは、私達人間のせいなんだから」

"そうだ! 僕たちは生まれ育った地で静かに眠っていた! それを!! お前達人間が僕たちを無理やりに起こしたんじゃないか!"

「そうだね。悪いのは私達だ」

"だから! 僕たちは人間に復讐するんだ!!"

「だから、人間に取り憑いてワザと酒呑童子が眠っている祠を壊して彼を永い眠りから起こしたんだね」

"!!"

煙の状態である悪鬼王には目も口もないが、なんとなく「なんでそれを知っているんだ」と驚いているように見えた。
私は、地面から少しだけ浮いている悪鬼王と目線を合わすようにしゃがみ言葉を続ける。