１３標的 探索開始の段 ページ13
私と一緒に来るのは雲雀さんとクロームちゃん、そして眠ったままのランボ君をおぶった笹川先輩のチームと残りでチームを組むことになった。
「沢田君の方に八人の妖怪をつけるから何かあれば彼らに聞いて……ちょっと辺りがキツイけど君たちに危害を加えることは無いから、大目に見たげて……皆」
私がそう声をかけると、天狐と蛟以外姿を消していた残りの十四人の兄さん達が姿を現す。
こういった状況は、いままで何回もあったからかそんなに驚きの声が上がることは無かった。
「天狐、割り振りお願い」
"承知した。Aの組には、私、鎌鼬、鴉天狗、影法師、のっぺらぼう、経凛々、古椿の霊、髪切りがつけ。残りは沢田綱吉の組につけ"
"まぁしょうがないね"
"のっぺらぼうは雷獣とリンクし何かあれば報告すること、いいな"
"了解しました。雷獣頼むぞ"
"のっぺらぼうもね"
そういい二人はお互いに見合いながら力強く頷きあう。
それが終わり、さっそく行動しようとしたとき大事なことを思いだした。
「そうだ。沢田君たちにこれを渡しておくよ」
「これは……鏡?」
「この世界の怪異の中には、親しい者や他の生存者に化けて油断させて襲ってくるものもいるから、もし怪しいと思ったらこの鏡に映してみて。鏡は真実を映し出すから正体が分かるはずだよ」
「分かった、後で返す」
「ただの鏡だから気にしないで。割れちゃっても構わないからね」
「あぁ」
「蛟たち。沢田君達に危険がせまったら必ず助けるように。いいね」
"主の仰せのままに……いくぞお前ら!"
"はいっ!"
「じゃあ皆、とりあえず町を探索して酒吞童子の情報を集めよう。酒吞童子は必ずこの並盛町にいる!」
そう言い私達は別々に分かれて探索を始めた。
私の家の長い階段を降りきると、まるで待ち構えていたかのようにたくさんの子鬼や怪異たちが私達を襲いだす。
「邪魔」
しかしこんな大量の化け物に目をくれず雲雀さんは、愛用のトンファーを振り回し次々と浄化していく。
よほどムカつきが溜まっていたのか一撃一撃がすごく重たそうだ。
あっという間に敵を散らした雲雀さんは、ふんっと鼻を鳴らしながらスタスタと歩いていく。
私達は彼を見失わないように、その後を追った。
「烏天狗、上空から何か見えない?」
"まだ何も。まぁ敵も馬鹿じゃねぇから妖術で姿を隠してるだろうな"
「確かにね……何か見えたら報告して」
"おう"
そう言い、留三郎兄さんは翼をはためかせ上昇していった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月17日 20時
