優先順位を私に届けて【及川徹】

ボロ ページ18

『あの………』

少し間が開いて、私は一声話しかけたら妙に饒舌となって先生が話し出した。

「あっ、いやその、黒田さんはまだ死なないって思ってても案外人なんて早く死ぬものでーって……」









言いかけて、止まった








「……ごめんなさい。医者として言ってはいけないこと言いました」

患者に対して死ぬなんて禁句だった

と、




聞き慣れすぎてつい流してしまってた




『ああ……いえ、お構いなく…実際先生が言ってることはあってると思うので。どうか謝らないで』






医者として病人をたくさん見てきたことだ
死人をたくさん見てきたことだ。

犠牲になった屍の上でそれをこれ以上増やさぬようにと先生は必死なんだから












「…………ごめん。松田さん、一回病室を出てくれないかな。二人で話したいんだ」

横にいた看護師に一言断りを入れて

看護師の松田さんは二つ返事で了承して病室を出た







二人きりになった病室で、先生は深刻な顔を浮かべていた







「黒田さん、髪以外にも本当に異変はない？」

ない









とは言いきれなかった

最近の妙な頭痛








『……………副作用化は分かりませんが、少し頭痛はあります……』










先生は小さくため息を漏らして。ぐっと苦虫を噛み潰したような顔をした









「今から言うことは僕が患者のことを思って隠していた事実です。」

『…………』

「君にとってはもしかしたら悲しいことかもしれません。それでも聞きますか？」









『わたしの、身体のことなので』









「君はね、先天性白皮症の他に」



















「脳腫瘍があるんだ」

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