no había cielo【月島蛍】

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布団に横たわり、起き上がってくれない蛍ちゃん





片方の手をずっと握って、ずっと隣に座る











『ねぇ。教えて』

『蛍ちゃんはこれからどこへ行くの？』









咳き込みながら、さらい細くなった指先をピクリと動かし

頬骨の浮き上がった顔をこちらに向けた








「………………そうだな………Aがこれない、ずっと遠いとこ」







掠れた声で、目元を細めて笑った












『蛍ちゃんはもう、動けないの?』

『私の部品使ったら直る？』












「…………そのうち、すぐに動けなくなるよ」

「お前の部品使っても直らない」

「………それに、その部品は僕の大事なものだから大切にして」












「死ぬ前に………どうしても《A》に会いたくて」

「お前を……【A】を造った」












「都合の良い夢でも、僕はそれが欲しかった」














「僕の隣にいてくれてありがとう」













最後の最後まで笑っていたのに

ほんとの最期で蛍ちゃんは涙を流した













『…………………………………』ﾋﾟﾋﾟｯ
















「好きだよ」
















「…………………………………………」ﾋﾟ-













蛍ちゃんは、それ以降動くことも、話すこともなかった


けど、あの瞬間の手は、確かに温かかったのを覚えている

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