no había cielo【月島蛍】

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『…………お客さん？』






家の扉がノックされて

生憎蛍ちゃんは留守だったからフードを深く被ったまま私が出た





収穫の終えたトマトの入ったかごを片手に。








戸を開ければ、１８０を超えた男が

…………私は彼を知っていた









彼は私を見るなり、目を見開かせた

大柄な身長の割に、少し反応や口調が弱々しかった








「……………Aちゃん...?」

『…………』ﾋﾟﾋﾟｯ







Ｍ字の前髪に

そばかす






プログラムされた記憶は一人の男と名前を指す






『こんにちは。忠…………』





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「そっか…ツッキーが言ってたアンドロイドって君のことだっただね」

「言ってた意味がやっとわかったよ」






少し外で話そうと誘われ

お見送りも兼ねて

言われるがままについていった






木々が生い茂る木陰道を、私は忠の後ろについていきながら歩いた






「Aちゃん………か、なんだか懐かしいな」





一方的に話す忠は、記憶を遡るように優しい目をしていた




「思い出すよ。つい最近のことみたいに

俺もAちゃんとは仲が良かったから」







「変わっちゃったね…ほんとに」

『……………』










足はピタリと止まるばかりで

口は何も言わなかった










だって、忠が酷く悲しい顔をするのだから

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