検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:164,346 hit

3. ページ4

「ひどいなーAちゃん、何も顔に投げることないじゃん..。」

「だからごめんって言ってるじゃん。」




ぶつくさと文句をたれる及川を横目に、私は手当の道具を探る。


さすがに悪いと思って保健室に共にやってきたが、先生が居ないので勝手にやらせてもらうことにした。



「それで、なんの話してたの?」



ズイっと軽く椅子を寄せてきて興味津々に聞いてくる。



「別に、及川には関係ない。」

「えー?でも俺の話だったじゃん?」

「はあ......。及川が囲まれてる時の女子がうるさくて迷惑っていう話。」



まあ、嘘だけど...。




何も言い返してこない及川を不思議に思い、冷えピタを切っていた手を止めて正面の優男に向く。




「それって......」




にやあーっと徐々に顔の締りがなくなっていく。




「それってAちゃん、嫉妬?」

「っ!?!?んなわけないでしょ!」




思わず右手に持っていたハサミを向けた私に、及川は体をのけぞらせる。




「冗談!!冗談だから..ね?ハサミ向けるのやめて!」




小さくため息をついて、冷えピタを再び切り始める。




「冗談っていうか...願望......かな?嫉妬だったらいいのにって思ったから。」

「......。」




少しトーンを下げて、誰にともなく及川は呟いた。


ああ...イライラする。この人はどうして"そんなこと"を言うのだろうか......。

胸のあたりがチクチクと痛い。及川の顔が見れない......。




「ていうか、今更だけど勝手に触って良かったの?」




今度は明るい声でそう尋ねてくる。


「少しくらい大丈夫でしょ。まあ、怒られたらそれは及川のせいってことで。」


及川に向き直り、鼻のところに冷えピタを貼る。使い終わったハサミなどの道具を箱へ戻す


「えー?そこは連帯責任で2人で罰掃除でしょ!」

「そこは一人でやる。」

「え、何で!?そんなに俺といや!??」

「いやとかじゃなくて、だって及川部活行かないと。



そう言って立ち上がった私に、今度は及川の返事がないのでそちらを向く。

キョトンとした顔で私を見つめている及川。こいつに見上げられるのは珍しいな...



「なに?」

「いや...Aちゃんらしいなと思って。」

「......何それ。」




そう、にこりと笑った及川に、私も小さく笑ってしまった。


授業が始まってしまうので、保健室から出る。及川がついてきている気配はないが、まあ、あいつが遅れようと私の知ったことではない。



__________________

保健室


『っ......//』

4.→←2.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (115 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
520人がお気に入り
設定タグ:及川徹 , ハイキュー , 青葉城西高校   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紫癸(プロフ) - RIOさん» 呼んでいただきありがとうございます!全然更新できてなくてすみません...頑張って完結させます!!! (2021年11月8日 21時) (レス) id: 577fa76214 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらってます!めっちゃ面白いです!!更新待ってます! (2021年11月3日 19時) (レス) @page50 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - ねこ@自己満小説さん» 読んでいただきありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!!^^更新頑張ります! (2021年8月8日 14時) (レス) id: 577fa76214 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ@自己満小説(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです!展開も早くてもうあの、性癖にグサッときましたね!これからも頑張ってください!! (2021年8月7日 12時) (レス) id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - さ。、さん» コメントありがとうございます。なるほど……そうですよね、申し訳ございません。物語の構成上まだ名前呼びにはできないので、苗字変更できるように調整します!!貴重なご意見ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年6月15日 18時) (レス) id: 09e86c6bee (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫癸 | 作成日時:2020年6月2日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。